ガンワクチン療法

細胞ワクチンといえば、発病していないヒトに弱毒ワクチンを注射し、それに対する抵抗力をつけて、細菌やウイルスがからだに侵入しても、発病させないようにするものです。

癌ワクチンも同じように、弱毒ワクチンで発癌しないようにするのが理想ですが、現段階ではガン患者さんからガン細胞を取り出し、それに操作を加えたうえでからだに戻し、逆に癌細胞を攻撃させる方法がとられています。

そもそも癌細胞は生命力が強く、盛んに細胞分裂を繰り返していますが、そのとき細胞のなかではタンパク質が細かく分解され、短いペプチド(アミノ酸8~10個ほど)になります。

このペプチドが相性のよいHLA(自己証明書のようなもの)と結合すると、ペプチドは癌細胞の表面に顔を出し、自分の存在を示す目印を掲げるのです。

そこで癌細胞をほぐしてこのペプチドをつくり、人工的に大量生産してみます。

そしてそれをワクチンにしてからだに注射しますと、ペプチドは次々にHLAと結合していきます。

当然、このペプチドとHLAの結合物は、癌細胞表面にある目印とまったく同じ形です。

これをみた樹状細胞が、癌の大軍が押し寄せたと勘違いして味方に伝えるため、全身の免疫細胞は急きょ臨戦態勢に入って、大量のキラーT細胞を増産します。

キラーT細胞は文字通り癌細胞の殺し屋です。

こうして増産されたキラーT細胞が癌細胞を凌駕するようになれば、癌を死滅させることができると期待されています。

このペプチドをワクチンにした治療法が、現在もっとも有力な癌治療法のひとつとして期待されているのです。

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