がんゲノム医療のスタート

がんゲノム医療とは

ゲノム(遺伝情報)の解析技術が進むと、病気の原因となる遺伝子の変異を調べ、それに最も適した薬や治療法を決定することができます。

癌に対しても同様に、遺伝子解析によってひとりひとりの癌に応じ、それぞれ最も適切な薬剤、治療法を選ぶことができます。これを「がんゲノム医療」と呼びます。

これは今までの、胃ガンならA,肺がんならBといった臓器によって薬剤を決めるやりかたよりも、はるかに効果が高いといわれています。

したがってこの計画が順調に進めば、わが国のがん治療は画期的に進歩するものと予測されます。

がんゲノム医療の実施計画

厚生労働省の計画では、全国各地域にある中核病院(ガンセンターなど)に100種類以上の遺伝子変異を一度に調べられる検査機器を設置し、各地域におけるガン患者さんの血液や尿を採っていただき、遺伝子変異と治療成績、副作用などのデータを集めます。

そしてそのデータを国立がん研究センターの情報管理室に集積し、その膨大なデータを人工知能(AI)で分析し、遺伝子変異の内容によって、どの薬剤、どの治療法がベストな選択かを提示するようにしたいということです。

残念ながらわが国では、ガンに対する遺伝子変異の検査は、まだわずかしか行われていないのが現状です。

がんゲノム医療の現状

現在成果のあがっている薬剤といえば、分子標的薬の「イレッサ」(一般名:ゲフィチニブ)があります。

これは非小細胞肺ガンでは28%しか効きませんが、非小細胞肺ガンでEGFR遺伝子の変異があるかたでは、76%のかたに奏効することが分かっています。

また、分子標的薬の{アービタックス}(一般名:セツキシマブ)も同じ分子標的薬で、モノクロナール抗体(ガンの発育を阻止する人工的に造られた抗体)です。

大腸ガン・頭頸部ガンに対し、KRAS遺伝子陽性のかたには効きませんが、KRAS遺伝子陰性のかたには化学療法と併用すると61%も奏効することが分かっています。

厚労省は、欧米に比べまったく出遅れている遺伝変異の検査内容を充実させ、2018年度をめどに、遺伝子一括検査を保険適用にして広げていきたい考えです。

その成果があがらなければ、本格的ながんゲノム医療は始まらないのです。