“IGF-1”を抑えてガンの進行を止められるか?

Cell

細胞の増殖を早めるホルモン、IGF-1

成長ホルモンが肝臓に働きかけてつくられるIGF-1(インスリン様成長因子insulin-like growth factor 1)というホルモンは、食事を摂ると増えることが知られています。逆に低カロリーの食事を続けると、IGF-1の出が悪くなります。

IGF-1は主に肝臓で、成長ホルモンの刺激をうけて分泌されます。

IGF-1はからだの筋肉、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚、肺などの細胞の増殖を早めます。

とくに軟骨細胞を増殖する作用があり、骨端軟骨に働きかけて長い骨の成長を促し、その結果身長が伸びるのです。

またインスリン様の血糖を下げる効果に加え、神経細胞の発育や筋肉の合成を促進し脂肪の分解を促進します。

がん細胞との関係

全米環境医学研究所のサンドラ・ダン氏は、医学専門誌「Cancer Research」に、膀胱癌のネズミに与える餌を20%カットしたところ、血液中のIGF-1が24%低下し、同時にガンの進行も止まったと報告しました。

さらに、IGF-1の濃度を元へ戻してみると、ガン細胞が再び増え始めたため、ガンの進行にはIGF-1が深く関わっていると結論しました。

ダン氏は遺伝子操作によって癌抑制遺伝子p53が欠損しているネズミを作成し、発癌物質を与えて、膀胱癌をつくることに成功。この膀胱癌ネズミを対象に、IGF-1の血中濃度を低く抑える経口薬の研究開発に取り組んでいるそうです。

もし成功すれば、ガンの進行を止める藥ができるという期待が高まっています。

また、別の研究でIGFがガンや糖尿病に重要な影響を及ぼすことが分かり、例えば前立腺癌や乳癌の細胞の成長を刺激することがわかってきました。

加齢とIGF-1

ところで、加齢により30歳を過ぎると成長ホルモンもIGF-1も落ちていきます。さらにIGF-1が作用するためのIGF-1受容体も加齢とともに減少します。

年齢とともに内臓の働きが悪くなる理由は、IGF-1には血管拡張作用があり、不足するとからだのすみずみまで血液が循環できなくなるからといえます。

もし、不足したまま放置すれば、高血圧や脂質異常症、糖尿病、心臓疾患など重大な病気を引き起こすことになります。

したがってIGF-1は、むやみに減らせばいいというものではないのです。