乳ガンの薬物療法の実際

化学療法

ガン細胞の増殖を抑え、死滅させるのを目的とした抗ガン剤です。

抗ガン剤は細胞分裂が早い細胞にターゲットをあわせていますので、正常細胞のうち、細胞分裂が早い骨髄や毛髪、胃腸の細胞にも作用を及ぼす結果、貧血、脱毛、吐き気をおこしてきます。

ただし正常の細胞は、ガン細胞よりも抗ガン剤に対する耐性が強力であるため、ガン細胞より早く(3週間)回復します。

そのため、3週間おきに抗ガン剤を投与すれば、ガン細胞だけを死滅できるという考えです。

副作用を避けるため、作用の異なる抗ガン剤を数種類、組み合わせて用います。

主なものに、アルキル化剤(エンドキサン)、代謝拮抗剤(カペシタビン、5FU,UFT)、微小管阻害剤(タキソール、タキソテール) などがあります。

ホルモン療法

ホルモン療法とは、乳ガンの6~7割が女性ホルモン依存性(女性ホルモンなしには増殖できない)であることに着目し、女性ホルモンの供給を阻害して、ガン細胞の増殖を抑えようという療法です。

30年にわたり抗エストロゲン剤(タモキシフェン)が、乳癌治療の世界標準でしたが、最近ではエストロゲンの前駆体であるアロマターゼ阻害剤(アリミデックス・アロマシン・フェマーラ)が取って代わっています。

分子標的治療薬

これは分子レベルでガン細胞を狙い撃ちする薬で、現在のところ再発・進行を抑え、乳ガンに対する延命効果を目的としています。

HER2(ハーツー)は通常、正常の細胞増殖や分化などに携わるタンパクです。

ガン細胞の表面にあるHER2(ハーツー)の受容体は、多数のアンテナを出しながら体内の物質と結合しながら増殖しています。

今最も注目されている分子標的治療薬・トラスツズマヅ(ハーセプチン)はこのアンテナにくっついて、がん細胞が情報を受け取れなくしてしまうため、ガンが増殖できなくなってしまうのです。

乳ガンの6~7割がホルモン感受性陽性といわれていますが、この薬剤はホルモン感受性陰性の人にむしろよく効くという朗報もあります。

しかもこの薬剤は正常細胞を攻撃しないため、従来の骨髄抑制や脱毛、吐き気などの副作用がなく、現在最も使用されている乳ガン治療薬です。

そしてトラスツズマヅ(ハーセプチン)とウィークリー・タキソール(週1回のタキソール投与)の組み合わせが特に効果的といわれています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする