HER2(ハーツー)型乳ガン

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HER2陽性

HER2とは、ガン細胞の増殖を促進するタンパク質で、これが増える(HER2陽性)と、ガンの発育スピードが加速されます。

乳ガンの15~30%、胃ガンの20~25%がHER2陽性であるといわれ、ガンの進行が速いのが特徴です。

HER2陽性の乳ガンは 長らく難治性乳ガンの代表と言われていました。しかし、HER2を攻撃する分子標的薬(モノクローナル抗体)がつくられた結果、ガン細胞の表面に存在するHER2に結合して、ピンポイントにガン細胞の増殖を抑えることが出来るようになりました。

副作用

この分子標的治療は,ガン細胞に特有の分子をねらい撃ちするため,副作用がほとんどなく、ガンを抑える効果が期待されるのです。こうしてモノクローナル抗体のトラスツズマブ(ハーセプチン)が登場した結果、乳ガンの治療成績は急速に改善されました。

副作用は少ないといわれますが、ときに発熱、悪寒、下痢、発疹のみられることがあります。

エストロゲンとガン細胞の増殖

ところで、乳ガンの半数以上(60~70%)は、乳ガン細胞が女性ホルモン「エストロゲン」を取り込んで増殖することが知られています。

実際、HER2陽性乳癌患者の約半数は、「エストロゲン」を取り込んで増殖するタイプなのです。

一般的には、「ホルモン療法剤」を用いてエストロゲンの産生を抑えたり、エストロゲンが受容体と結合するのを阻止することによって、ガン細胞の増殖を抑制します。

つまり、ガン細胞の中にあるホルモン受容体(エストロゲン受容体)の量が多いほど、ガン抑制効果が上がります。

エストロゲンは、本来、女性の健康にはなくてはならない働きをしているため、ホルモン療法剤によるエストロゲン分泌や作用を抑えることによって、更年期様症状(のぼせ、頭痛、肩こり、めまい、うつ)などの副作用が現れます。また、エストロゲンが低下するため、コレステロールが溜まりやすくなり、運動不足やストレスによる過食で体重が増えやすくなります。

さらに、エストロゲンが低下すると、骨のカルシウムが減少し骨粗鬆症を引き起こすことがあります。

HER2陽性で再発リスクが高い患者さんでは、手術後にトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)と抗ガン剤を組み合わせた治療を行うことで、再発する危険性が半分近くに抑えられます。

また、進行ガンや再発した乳ガンでも、HER2陽性の場合は分子標的治療の対象となります。ただし、ホルモン受容体が陽性の場合は、まずホルモン療法を行います。副作用がより少ないからです。ホルモン療法が効かないときは、分子標的薬(モノクローナル抗体)と抗ガン剤を並行して用いることになります。

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