乳酸は疲労物質か?

筋肉

再エネルギー源、乳酸

乳酸が疲労物質と言われるようになったのは、疲労すると血中に乳酸が増えるという事実に基づいています。

つまり激しい運動をすると、一時的に乳酸が筋肉に溜まります。乳酸は消費するのに時間がかかるため、しばらく筋肉内に残るのです。

このため疲労の原因物質は乳酸であると言い伝えられていましたが、近年の研究では逆に運動で発生する乳酸は、肝臓でグリコーゲンに再合成され、再びエネルギー源として利用されていることが分かってきました。したがって、乳酸は疲労の原因にはなっていないと考えられるようになりました。

疲労の原因物質

現在では疲労の原因物質は、特定の細胞に免疫や炎症などの情報を伝達するサイトカインではないかと考えられています。その代表的なものがTGF-β(トランスフォーミング成長因子)(transforming growth factor)です。

脳や筋肉で酸素が大量に消費されると、活性酸素が発生して細胞を障害するようになります。するとこれを修復するためにTGF-βが分泌されるのですが、疲れがとれないままTGF-βが出続けると、セロトニンの分泌が抑えられ、脳や神経細胞までダメージを受ける結果、疲労を感じるというのです。

あるいは乳酸が作られる過程で発生する水素イオンにより、筋肉が酸性に傾くのが疲労を感じる原因ではないかともいわれています。

さらに2008年、東京慈恵会医科大学近藤一博教授らは、ヘルペスウイルスに関係する蛋白質に疲労物質を発見し、国際疲労学会で報告しました。まだその詳細は明らかになっていませんが、今後の研究の成果が待たれます。

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