5. 長寿のためのキーワード(1) 長寿遺伝子を活性化させよう

LionFive / Pixabay

“DR1”のような長寿遺伝子をもつ遺伝子エリートでなくても百歳を迎える人は沢山おられます。

また長寿遺伝子といわれるものは実はほとんどの人が持っていて、そのスイッチをオンにすることができるかどうかのほうが問題なのです。

サーチュイン遺伝子

最近発見されたサーチュイン遺伝子(silent information regulator gene)、は老化を遅らせる働きをもつとされるタンパク質です。1999年、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授により、発見されました。

最初、イースト菌から発見され、「Sir2」と呼ばれました。その後さまざまな生物にあることが分かり、マウス(実験動物)では「Sirt1」、ヒトでは「SIRT1」と呼ばれることになりました。

サーチュイン遺伝子はそのままでは働きませんが、スイッチが入ると作動し始め、細胞の若返りや代謝の促進がみられ、老化を遅らせることが分かってきました。

サーチュイン遺伝子にスイッチを入れる

サーチュイン遺伝子にスイッチを入れ活性化するためには、まず食事量をかなり抑えることが必要な条件といえます。具体的には、一日1200~1400kcal、蛋白質50gが適当といわれますから、通常私たちが食べている半分程度を想像されるとよいでしょう。ただし、小食でもバランスがとれた(偏食のない)食事内容にする必要があります。

また、ポリフェノールの一種、「レスベラトロール」を摂ると、サーチュイン遺伝子にスイッチが入ることが分かっています。ワインやブドウ、ピーナッツの皮などに含まれていますが、レスベラトロールを200~300㎎摂取しなければ、サーチュイン遺伝子は活性化しません。赤ワイン1本でレスベラトロール1㎎程度ですから、なかなか実際には実現困難といえます。

期待されるNMN

そこで現在、サーチュイン遺伝子のスイッチを入れるのに最も効果的といわれているのがNMNという物質です。

NMNは「ニコチンアミド・モノヌクレオチド」の略で、体の機能を保つのに大切なNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)に変換されたのち、そのNADがサーチュイン遺伝子を活性化させる結果、老化が防止されるというのです。

実際、NADが不足すると、目立って老化が著しくなります。このため、NMNを摂取して、NADを増やすことが老化の防止につながると考えられています。

NMNやNADは、誰の体の中にもありますが、残念ながら加齢とともに減ってしまうのです。

したがってNMNをつくる能力が落ちてくるとされる60歳あたりから、“予防薬”としてNMNを補給するのが効果的と考えられます。

また、一方では糖尿病や認知症などの症状を改善するため、“治療薬”としてNMNを用いることが考えられています。

一方、今井教授によれば、NMNはある種の癌の発育は抑えるようですが、白血病の細胞にNMNを与えると逆に活性化して、増殖を促す結果になるというのです。誰にでも投与すればよいというものではないようです。

今後、ヒトを対象に「NMN」を投与し、安全性や効果を確かめる臨床研究をワシントン大学と慶応大学と共同で、スタートさせると発表しました。一刻も早く、どのような人に使えるか、使えないかを明らかにされることが期待されます。

長寿遺伝子 AMPK

また、“AMPK”という長寿遺伝子は、筋肉が収縮することでスイッチがオンになることが分かっています。しかも軽い運動を持続することによってそれが活性化するというのです。

食後1時間をめどに、軽いウオーキングなどを30分~1時間おこなう習慣をつけてください。

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