HGF遺伝子治療薬「コラテジェン」

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HGFとは肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor)の略で、1984年、肝臓の細胞を増やす因子として我が国で発見されました。当初は肝臓の病気の治療薬として研究されていましたが、1995年に大阪大学の森下竜一教授により、 HGFの遺伝子を投与すると、その部位に新しく血管がつくられることが明らかにされました。

つまり、血管の詰まりかかった部位にHGFの遺伝子を投与すれば、新しい血管が出来て、血液が流れ始めるという期待が生まれました。

閉塞性動脈硬化症とバージャー病

とくに閉塞性動脈硬化症やバージャー病という難病は、重症になると足を切断しなければなりません。バージャー病とは、手足に栄養を運ぶ動脈が、炎症によって狭くなり、血液が流れにくくなる病気ですし、閉塞性動脈硬化症とは足の動脈の壁にコレステロールが付着し血液の流れを塞ぐ病気です。

患者数は国内で約40万人いるとみられ、HGFの遺伝子治療に期待が集まりました。

そこで1999年、大阪大学の研究者達が創薬ベンチャー企業「アンジェス」を立ち上げ、HGF遺伝子治療薬「コラテジェン」の研究、開発にとりくんできました。

治療法は、まず重症の動脈硬化で血管がつまった足の筋肉に、HGF遺伝子を2~3回に分けて注射します。

するとHGF遺伝子がつくる蛋白質の作用で、新しい血管が次々つくられ、血液の流れが再開し、発生した潰瘍も治り、足の切断を免れるというものです。

遺伝子治療薬「コラテジェン」の承認

彼らは阪大病院などで患者24人にHGF遺伝子を投与した結果、副作用はなく、24人のうち13人で潰瘍が治る効果を確認しました。そこで、2019年2月、厚生労働省はやっと「コラテジェン」の製造・販売を条件付きで承認したのです。

遺伝子治療薬としては日本企業初の承認例として特筆されます。

また、治療費は1人200万~300万円と高額なため、今後国の対応が注目されます。

遺伝子治療薬は「究極の医療」と期待されていながらも、実用化に向けた臨床試験に関し、日本は米国の10分の1とかなり出遅れているのが現状です。

その原因として、iPS細胞の基礎、臨床研究に、国の予算や研究者が集中したため、遺伝子治療研究が遅れたのではとの指摘があります。

しかしここにきて、やっと日本企業も開発に乗り出したというのが実情です。

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