カタルシス効果


カタルシスとは、ギリシア語で「浄化」を意味します。

わたしたちは、心の中に渦巻く不安、恐怖、苦悩などの感情を、信頼する人の前で吐き出すことによって苦痛が軽減し、安堵感を得ることを経験します。

この「心が浄化された」という気分を、精神科医のフロイトは「カタルシス効果」と呼びました。

カタルシスが医学的に採り上げられるきっかけになった症例です。

ブロイアー医師の患者アンナは、長年手足の麻痺、視覚障害、言語障害などのヒステリー症状に悩まされており、また、コップから水を飲めないという症状がつづいていました。

ところがある日、嫌いな家庭教師が犬にコップから水を与えているのを見たという事実を思い出し、それをブロイアーに語ったところ、突然コップで水が飲めるようになったというのです。

フロイトはこの現象を、無意識のうちに抑圧された感情や記憶を、言葉に出して表現することで症状が消失したと考えました。

ただフロイトは、ひとりひとりが抱える不安や苦悩は、必ずしも言葉に出せるものではないこと、またそればかりか、自分でもみずからの苦悩に気付いていない無意識の世界があるのではないかと考えました。

そして、無意識でも抑圧された状態が長く続くと、神経症やストレス障害をおこしてくると考え、どうすればこの抑圧を解き放つことができるかを研究しました。

その結果、自由連想法など言葉にして喋るというほかに、箱庭にミニチュアを並べる箱庭療法や、絵を描いたり、映画や音楽を聴いたり、ある題の劇を即興で自由に演じさせる心理劇などによっても、カタルシス効果が得られると考えました。

たとえば小説や映画のドラマで、自分に似た境遇のひとがいると、次第に感情移入して自分の気持ちを代弁してくれているような気分になり、あとで気持ちがすっきりした気分になるというようなものです。

このようにカウンセリングだけでなく、上記のような代償行為によって満足を得るという治療法を、「カタルシス療法」と呼ぶようになりました。

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