腹芸(はらげい)

Sushuti / Pixabay

腹とは本心の宿るところ

もともとは張り出したところ、膨らんだところという意があり、そこは胸の内よりさらに深いところで、本人が人に見せない心の内、本心が宿っているところと考えられた。

そこから、「腹積もり」や「腹案」という言葉が生まれ、相手の気持ちを察知するのに「腹を読む」とか「腹を探る」という言葉が生まれた。そして本心を打ち明ける場合は「腹を割る」といった。

また、鷹揚で心が広い人を「太っ腹」、「腹が大きい」といい、ことに動じない人を「腹が据(す)わっている」と褒め、他言無用と思えば自分の心に留めておくことを「腹に収める」といった。

逆に怒りがこみ上げると「腹を立てる」、「立腹する」といい、我慢の限界を超えると「腹に据えかねる」といった。

また、思案のあと決心するのを「腹を固める」、「腹を決める」といい、さらに覚悟のほどが強くなると、「腹を据える(すえる)」、「腹を括る(くくる)」といった。

腹芸とは

日常私たちは、直接口に出さないで、相手に気持ちを伝えるのを良しとする傾向がある。それがうまくいって、両者の息がぴったり合うと、阿吽の呼吸といって大層喜ばれる。以心伝心の好きな民族といえる。

さらにそこから派生して腹芸という言葉が生まれた。

自分の意思を通じさせるため、言葉を使わず、そこはかとなく態度に滲ませて相手に分からせるというものである。

もともとは役者言葉であったが、徐々に意が広がり、ことにサービス業では、この腹芸にいかに応じるかがものを言う。相手の本意をするどく察知して対応できることが出世の条件とまでいわれるほどになった。

さらには、並外れた度胸や威圧感をもって、無言で相手を屈服させるというほどの意をもつようになった。このため業界によっては、裏工作を得意とする寝業師にとって伝家の宝刀となったのである。

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