感染性腸炎:細菌性胃腸炎

食品に付着し繁殖した原因菌、またはその産生する毒素を食品とともに摂取したために発病します。

キャンピロバクター・サルモネラ菌、腸炎ビブリオが全体の60%以上を占めています。

その他には病原大腸菌、ブドウ球菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、セレウス菌、エルシニア・エンテロコリチカなどがあげられます。

サルモネラ腸炎

腸炎ビブリオと並んで代表的な食中毒の原因菌です。

イヌ、ネコ、ニワトリやネズミ、カメなどに広く分布するサルモネラ菌が卵、食肉またはその加工品を汚染して食中毒が発生する。

夏に発生が多く、特に鶏卵汚染が注目されています。

液卵と呼ばれる業務用の鶏卵加工品が汚染されていると、温度管理不完全な料理店などを中心に大規模な食中毒が発生します。

また最近はケーキのサルモネラ食中毒がしばしばみられます。

潜伏期は12~48時間程度、主症状は発熱、腹痛、下痢で、しばしば血便を伴います。

発熱は38~39 ℃で1週間続くこともあります。

下痢の回数は1日数回から10回、多くは水様性下痢ですが膿粘血便になることもあります。

病変はS状結腸や盲腸、回腸など広範囲にみられ、診断は糞便、血液より菌の検出を行います。

治療薬はアンピシリンやホスホマイシン、ニューキノロン剤が有効です。

腸炎ビブリオ腸炎

腸炎ビブリオは沿岸の海水中にいて、水揚げされた魚介類が死ぬと、その肉中に侵入します。

夏季には本菌は魚肉中で急速に増殖するため、刺身、寿司などで魚介類を生食した場合、食中毒が発生することになります。

主病変は小腸で,魚介類を食べたのち僅か数時間で発病します。

症状は激烈な腹痛と発熱、下痢で、悪心、嘔吐、血便を伴うこともあります。

初症期の症状は激烈ですが経過は短く、通常2~3日で回復します。

キャンピロバクター腸炎

キャンピロバクターはウシ、ブタ、鶏などの腸管に高率に分布し、菌に汚染された肉あるいは汚染されたまな板を介して感染します。

鶏肉、鶏卵、牛レバーなどが感染源になります。

潜伏期は1~7日と長いのが特徴です。

腹痛、悪心、嘔吐を伴い、発熱は38~39 ℃が3日くらい持続します。

下痢は1日10回くらいで約半数に血便を認め、症状改善までに3~5日かかります。

新生児では敗血症や髄膜炎などの全身感染をおこすこともあり、まれに四肢の運動麻痺を来たすギラン・バレー症候群を発症することがあります。

マクロライド系薬剤が第1選択でニューキノロン薬には耐性を示すことが多いといわれます。

腸管出血性大腸菌(EHEC)腸炎

下痢を起こす病原性をもった大腸菌は病原大腸菌と呼ばれ4種類ありますが、注目しなければいけないのは腸管出血性大腸菌です。

赤痢菌毒素に似たベロ毒素(VT1,VT2)を産生し、わずかの菌数でも発症し2次感染もみられます。

汚染源は牛で、病原大腸菌のうち70~90%が O157 で、圧倒的多数を占めています。

潜伏期は3日~9日と長いものが多く、初期には泥状、水様下痢便で、1~2日後に激しい鮮血便を呈する出血性大腸炎を起こし、鮮血様の血性となります。

治療はホスホマイシン、ニューキノロン系の薬剤を使用します。

発病8日目頃に溶血性尿毒症症候群脳症を続発することが稀にあります(1パーセント程度)。

この場合には直ちに透析、血漿交換、輸血などを行います。

診断は迅速診断キットか、便の培養検査によりますが、抗生物質をすでに飲まれている場合は、便から0157は検出されません。

この場合は血液検査をおこない、血清中の0157抗体価の上昇があれば診断がつきます。

エルシニア腸炎

エルシニア菌を持つ動物(豚、牛、羊、馬、犬、猫など)の糞便に汚染された食物や水を摂取することで感染します。

潜伏期間は平均5日で感染性は弱く、人から人への感染は稀です。

小児が感染を受けやすく、ときに保育所や小学校での集団感染がみられます。

下痢、腹痛、発熱、嘔吐がみられ、1~2週間続くことが少なくありません。

約20%に血便を伴います。

成人では右下腹部の腹痛を伴い、回腸末端に炎症をおこしてきます。

そのためしばしば虫垂炎と間違えられることがあります。

黄色ブドウ球菌腸炎

調理する人の手指の傷口から黄色ブドウ球菌が食品に付着、増殖し、菌の出す毒素を摂取した人は僅か2?3時間で激しい嘔吐が出現し、下痢、腹痛を伴います。

食品を加熱しブドウ球菌を死滅させても毒素はそのまま残るので発病してしまいます。

黄色ブドウ球菌とともに毒素が原因となるボツリヌス菌食中毒では、缶詰・ソーセージ、汚染蜂蜜に潜むボツリヌス菌の毒素により手足に力が入らない、息がしにくい、飲み込みにくいなどの症状を来します。

腹痛、下痢などの胃腸症状はそれほど強くありません。

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