便失禁(便漏れ)をどうするか

高齢になると肛門内側の筋肉が衰え、知らないうちに便が漏れることが多くなります。とくに認知症、脳梗塞、糖尿病の患者さんには頻繁にみられます。

また、直腸癌や痔核の手術、お産のあと等には、肛門外側の筋肉が衰え、便意が出てもトイレに行くまで我慢できずに漏れてしまうことがあります。若い人でも過敏性腸症候群のかたには、便失禁を起こすことがあります。

これらの事態を防ぐためには、便意がなくても食後30分すればトイレに行く習慣をつけ、それでも漏れる場合はさらにトイレに行く回数を増やす必要があります。また排便に際しては、過度にいきまないよう注意してください。なお外出の前には必ずトイレに行っておくことも必要です。

便失禁を防ぐ食生活

食事については、便がゆるいと便が漏れやすいので、便を固形化するため、食物繊維を多く含んだ食品(野菜、海藻、きのこ)や食物繊維加工食品(難消化性デキストリンなど)を摂取するようにしてください。

また、多量のアルコールや蠕動を早めるカフェイン(コーヒー、緑茶、紅茶)柑橘類、香辛料(キムチ、唐辛子、コショウ)は控えるようにしてください。便が柔らかくなり、漏れる原因になるからです。

どんな薬があるか

薬については、便秘薬の飲みすぎで便失禁するケースが少なくありません。下痢をして便を出そうという考えはやめたほうがいいでしょう。薬剤の変更については医師にご相談ください。

また、精神神経科の薬(向神経薬)はしばしば肛門筋が緩み、便漏れの原因になります。医師に相談したうえ、薬を調節してもらってください。

便が下痢に傾くため失禁する場合には、腸管内の多量の水分を吸い取るコロネル、ポリフル(ポリカルボフィルカルシウム)や、腸内の滞留時間を延ばし下痢を改善するロペミン(ロペラミド)が用いられます。

どんな検査があるか

以上の方法で便もれが改善しない場合は、病院を受診し、直腸・肛門の機能検査を受けてください。

肛門に関しては、力をいれて肛門を締めた時と、力を抜いて安静にした時の肛門の締まり具合を調べます。

また直腸に関しては、風船のような測定器を入れて、直腸の知覚と直腸内にどれだけ便を溜められるかを調べます。

さらに超音波検査によって肛門の筋肉の状態を確認します。

便失禁の治療法

肛門、直腸の筋力トレーニングとしては、骨盤底筋体操が普及しています。

これは、肛門・尿道・腟をきゅっと締め、3秒間ほど静止したのち緩めるという運動を、1回5分程度から始め、10~20分まで延長して行うものです。これは根気よく毎日続けなければうまくいきません。

それでもうまくいかないときには、小型の刺激装置を臀部に埋め込み、排便に関連した仙骨神経を継続して刺激することにより、便もれの改善を図ることがあります。電気刺激の間隔や出力は患者本人が調整できるというメリットがあります。