むくみ対策

通常、健康な状態では、私たちがむくみを感じることはありません。

からだは37兆個の細胞群からできていますが、それだけかというと、実は細胞と細胞の間にはクッションになるすき間があります。このすき間に水分が溜まるのを「むくみ」(浮腫)と呼んでいます。

からだの水分がどこにあるかというと、半分以上(55%)は37兆個の細胞のなかに満たされていているのです。

残り45%の水分は、細胞の外のすき間に溜まっていますが、その一部は血管やリンパ管のなかにあって、血液やリンパ液として流れています。

そもそも血管は透明のチューブのごときものですが、実際はチューブと違い、血液に含まれる透明な部分(血漿という蛋白質やナトリウムなどの電解質)が、血管の中と外を出たり入ったり出来るのです。

ところで、全身の血管には毛細血管にいたるまで圧力(血圧)がかかっており、圧が強くなれば血液中の水分(血漿)は血管の外へ漏れ出て、むくみを生じます。

これを防ごうと、血漿中のアルブミン(蛋白質の一種)はその浸透圧によって、水分が血管の外に出るのを防いでいます。つまりアルブミンには、水分が血管のそとへ漏れ出るのを引き留める吸引力があるのです。

からだ全体がむくむ場合

通常、全身にむくみが現れるのは、おもに心臓や腎臓あるいは肝臓に原因があります。

心臓はポンプです。心臓が悪くなると、全身に血液を送り出せなくなり、血液の流れがよどんでしまいます。すると心臓に戻る血液(静脈)が渋滞状況になり、静脈の圧力が高まって、水分が血管の外へ出てしまい、むくみを生じるのです。

また、腎臓は血液の「ろ過装置」ですが、腎臓が悪くなると、ろ過装置が目詰まりして、血液中の水分や塩分(ナトリウム)が増えても排泄できず、血圧が上昇する結果、むくみを起こしてしまいます。さらに、蛋白尿が出て血液のアルブミンが失われると、血管内の浸透圧が低くなり、水分が血管の外に漏れ出てむくみを生じてしまいます。

また、肝臓病が悪化して肝硬変になると、肝臓内で食物中の蛋白質をアルブミンに作り替えることが出来ず、血液中の浸透圧が低下する結果、水分が血管外に漏れ出て、むくみや腹水が発生するのです。

このように、全身にむくみを来たす病気は、早急な治療を必要としていることが多いため、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

下肢がむくむ場合

次に私たちが日常よく経験するのは、下肢のむくみです。

いわゆるメタボの方々は、おなかの太い下大静脈が圧迫され、下肢のむくみをおこしがちです。とりあえず、減食,減量に努める必要があります。

また一般に、加齢とともに下肢には水が溜まりやすく、しばしば足がむくんで来ます。

心臓から出た動脈は足先へ向かって流れた後、今度は静脈が重力に逆らって、心臓へ向かって流れます。

重力に逆らう分、下肢の静脈には負担がかかりますから、血液が心臓に戻りやすくするため、静脈のなかには沢山、弁が付いていて重力で下に落ちようとする血液を支えています。つまりこの静脈弁は逆流防止弁というわけです。

この静脈弁が壊れると、下肢から心臓に向かう血液が落下やすくなり、うっ滞して血管が瘤状になり、静脈瘤ができやすくなります。

すると、静脈の血圧が上がって、水分が血管外に漏れ出る結果、足がむくんでしまいます。

下肢の静脈瘤は、長時間立ったまま、あるいは坐ったままの女性に起こりやすく、遺伝しやすいのも特徴です。

足のむくみに対しては膝下までの弾性ストッキングによる圧迫治療が勧められます。

これで改善がなければ、硬化剤を直接静脈の中に注入し、炎症を起こして、静脈をつぶす治療がおこなわれます。

それでも効果がなければ、近赤外線レーザーファイバーや高周波カテーテルを静脈の中に挿入し、血管の内側から静脈瘤を熱で焼きつぶす血管内焼灼術が、とられるようになっています。

リンパ液が溜まるとき

ほとんどは、癌の手術時のリンパ節郭清が原因です。

たとえば、乳癌の手術で転移を防ぐために腋の下のリンパ節を摘出した場合、摘出した側の腕と手にむくみが起こりがちです。

また、卵巣癌や子宮癌でソケイ部のリンパ節を摘出した場合も、摘出した側の下肢にむくみの生じることがあります。

リンパ節を摘出したため、リンパの流れが滞り、リンパ管への水の吸収が減少して、むくみが発生するのです。

リンパ浮腫の治療の第一は、スキンケア―です。

むくんだ皮膚が乾燥すると細菌感染、時には蜂窩織炎を引き起こすこともあります。

入浴後にはローションやクリームで十分な保湿を心掛けてください。

また肥満のかたは、リンパ液の流れがさらに滞ってしまいます。体重のコントロールを心掛けてください。

つぎに、マッサージにより、むくんでいる部分のリンパ液を正常に働いているリンパ節へと流していきます。

同時に、日中は弾性ストッキングや弾性スリーブを用いて、むくんでいる部位に圧をかけ続ける圧迫療法を行います。

これらの治療でもなかなか改善しない場合には、外科的に余分な組織を切除したり、リンパ管と静脈をつないで、停滞したリンパ液を静脈に流すなどの治療が行われます。

甲状腺機能低下症の場合

甲状腺機能が低下すると、血液中のアルブミンが血管外へ漏れやすく、むくみをおこしてきます。

さらに漏れ出た蛋白質は、リンパ管を介して血液中へ戻るはずですが、甲状腺機能低下症ではこの戻りが悪く、むくみが改善しにくいのです。

むくみのほか、脱力感、疲労感、冷感、記憶力低下などが見られる場合は、医療機関を訪れて血液中の甲状腺モルモンを測定してもらい、低下があれば早急にホルモン治療を受けてください。

塩気の多いものを摂ったとき

一方、からだは病んでなくても、わたしたちは時に、むくみを経験することがあります。

たとえば、塩分の多い食品を摂りすぎた場合です。

塩はナトリウムと塩素で出来ていますから、食塩をとると血液中のナトリウム濃度が上がります。

ナトリウムは水分を取り込む性質があるため、血管内の水分が増量して、血圧が上昇します。

その結果、血液中の水分が血管の外に出ていくため、むくみが出現します。

たしかに食塩の多くは精製塩と言って、成分は塩化ナトリウムだけなので、血圧は容易に上がってしまいます。

一方、海水からつくった自然製法の塩には、カリウムやマグネシウムが含まれています。

この場合は、カリウムが尿にナトリウムを排泄するように働き、マグネシウムが血管を緩めて血圧を下げる働きをするため、むくみは起こりにくくなります。

むくみ勝ちのかたは、自然製法の塩を摂るよう心掛けてください。

アルコールを飲みすぎたとき

また、アルコールを飲みすぎた翌朝には、からだにむくみを感じることが少なくありません。

私たちのからだは、排尿を抑える「抗利尿ホルモン」の働きによって、からだの水分量を一定に保っています。

ところが、アルコールを飲むと「抗利尿ホルモン」の働きが抑えられるので、飲むほどに利尿作用が活発になり、トイレが近くなってしまいます。

こうして頻回に排尿すると血管内は脱水状態となり、血液中のアルコール濃度が高くなります。アルコールには血管拡張作用があるため、血管は拡張して血管の外へ水分が漏れ出すため、むくみがおこるのです。

さらに、濃くなったアルコールを分解し、血管内の濃度を薄めるため、からだは大量の水を摂ろうとします。

こうして水を飲みすぎると、血管の内圧が上がり水分が血管外へ漏れ出るため、さらにむくみを増長することになるのです。

飲みすぎた場合には、とりあえずスポーツドリンクや味噌汁、野菜ジュースなどの水分補給をしてください。

女性特有のむくみとは

排卵前は卵巣ホルモンが多く分泌されるため、むくみはおこりませんが、排卵後には、黄体ホルモンが分泌され始めるため、からだにむくみを感じるようになります。

黄体ホルモンには血管拡張作用があり、血流が停滞するため水分がたまりやすくなるのです。

また妊娠すると胎児の成長につれ、血液中の水分が増加するため血液が薄くなり、むくみを感じやすくなります。

また胎児が大きくなると、母体のおなかの静脈を圧迫する結果、下半身の血液が心臓へ戻りにくくなります。

このため、静脈の血圧が上がり、血管から水分が漏れ出るために、むくみが生じてくるのです。

出産までは塩分をなるべく避けて、カリウムの多い果物、野菜、きのこなどを積極的に摂ってください。

手足のむくみが強い場合は、心臓の方へ向かって手で擦り上げるようにしてください。同時に無理のない範囲で、下半身のストレッチを続けるようにしてください。

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