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免疫の不思議 | 浦岡胃腸クリニック

IMMUNE

免疫のはなし

免疫の不思議

アレルギー

目印

私たちのからだには、そとから異物が入り込もうとすると、ただちにこれを排除しようとする拒絶反応がおこります。
このように、からだに細菌やウイルスなどの異物が入ろうとするのを拒否する働きを、病(疫)から免れるという意味で、「免疫」と呼ぶようになりました。
私たちのからだは60兆もの細胞の集団からできていますが、そのすべての細胞の表面に、これは自分だという12個の目印(HLAと呼ぶ)がついています。
からだの外から入ってきたものが、この目印と同じであれば、すなおに受け入れますが、1個でも目印が違うと異物であると判定し、拒絶反応をおこすのです。
この目印を正確に判定する審判役をしているのが、白血球の約3分の1を占めるリンパ球です。
特にその主役ともいうべきリンパ球がT細胞B細胞です。

T細胞、B細胞

胸の中央部、胸骨の裏にあるリンパ球がつまった小さな袋を胸腺といい、この胸腺にあるリンパ球をT細胞、骨髄(骨の中央部)にあるリンパ球をB細胞と呼びます。
T細胞には3種類あり、そのひとつ「ヘルパーT細胞」は免疫の司令塔であり、マクロファージから病原菌など異物の情報を受け取り、B細胞に抗体を作るよう指令を出します。また、病原菌を撲滅するキラーT細胞やNK細胞を活性化させます。
二つ目、「キラーT細胞」は殺し屋です。ヘルパーT細胞から指令をうけ、感染した細胞やガン細胞にとりついて、その細胞を殺します。
三つ目、「制御性T細胞」はストッパー役です。過剰に攻撃したり、武器を作らないように抑制し、必要以上の攻撃を抑えます。
B細胞はあらゆる異物に対応できるように、遺伝子を縦横無尽に組み合わせて、1千万種類もの抗体を用意し、からだに入る異物を中和します
免疫はこのように緻密な働きをしていますが、常に異物を排除してからだを守っているのかというと、必ずしもそうではないのです。

免疫の寛容

排除しようとする動きが行き過ぎると、からだを守るどころか、逆に有害となってしまいます。これをアレルギーと呼びます。
またあるときは、異物を追い出そうとすることをやめ、異物と共存しようとします。つまり、異物を外敵として認識しないようにするプログラムがあるようなのです。
普段の免疫の厳しい拒絶反応をみていると、この穏便な行為にはいかにも虚をつかれた感があり、これを免疫の寛容と呼んでいます。
そして一度この寛容なもてなしを受けると、その異物は一生、拒絶反応をうけることはありません。
実際、免疫の寛容がみられるのは、つぎの3つの場合です。
一つ目は、生後すぐか生まれる前に経験したことに対してです。
二つ目は、異物(抗原)であるタンパク質が微量か、あるいは逆に大量である場合です。
三つ目は、異物(抗原)が口から入ったときです。私たちは毎日、異物である食物を食べていますが、ご承知のとおり決して拒絶反応をうけることはありません。
このように免疫システムとは、自分と違うものが入ってくると激しく拒絶する反面、一方ではあるものに対して優しく受け入れようという面を持ち合わせています。いかにも人間的というべき行為でしょう。

自己免疫疾患

ところが、あらゆる異物に対応した緻密な免疫システムがつくられた結果、わずかな狂いがおこると、突然自分のからだの一部を異物と勘違いして、これを排除しようとする事態がおこるのです。
すなわち、自分を守るべきものが自分を攻撃するという矛盾です。
これを自己免疫疾患と呼びます。
たとえば橋本病といわれる甲状腺の病気があります。T細胞が自分の甲状腺を異物と誤認して攻撃するため、甲状腺が破壊され、機能が衰えてしまう病気です。
逆にバセドウ病は、B細胞が作った抗体が甲状腺を刺激するために甲状腺が腫れ、機能が働き過ぎる病気です。
若年性糖尿病は、T細胞が膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞を異物と誤認して攻撃破壊するため、インスリンをつくれなくなった病気です。
さらに全身の関節がT細胞の攻撃をうける慢性関節リウマチや、自分のDNAに対して抗体がつくられる結果、全身の臓器が攻撃されるSLEなど、枚挙にいとまがありません。
現在、難病といわれている病気の多くが免疫のせいだといわれる所以です。
こうしてみると、免疫は自分にとって必ずしも頼りがいのある味方だとはいえず、むしろ際どく、危ういシステムといえましょう。

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