昔からブラジルサンパウロの郊外のピエダーデ山地は、成人病の発生が異常に少ない長寿村として知られていました。
そこで、住民たちが常食していたキノコアガリクス茸が研究の対象となり、1965年にその分析結果が学会でも発表されました。
その結果、20種類以上のアガリクスのうちアガリクス・ブラゼイ・ムリルという種には β-D-グルカン をはじめ、各種ビタミンやミネラル類、エルゴステロール、リノール酸、パルミチン酸などが豊富に含まれていることが判明しました。
中でも多糖類の β-D-グルカンは、体内の免疫細胞を刺激して免疫力を高め、ガン細胞の増殖を抑える可能性が示唆されました。
とくに、レーガン元米国大統領の皮膚がん治療にアガリクス茸が使用され、ガンの再発、転移を防ぐことができたという噂から、一躍世界の脚光を浴びました。
免疫賦活作用のあるサプリメントととして
しかし、β-D-グルカンはたとえ粉末にしても分子量が大きいため、これを消化する酵素を持っていない我々人間では、体内に吸収することは極めてむつかしいと思われます。
腸管から吸収されなければ、その有用性はないと言わざるを得ません。
確かに一部には抗腫瘍効果があるという報告も散見されますが、国立がんセンターの動物実験に基づく研究では抗がん作用は確認できませんでした。
また国立健康・栄養研究所でも、今のところヒトに有効とするだけのデータはないと結論しています。
以上の理由から、抗がん剤としては国の認可を得ておりませんが、その免疫賦活作用がガン予防に有用だとして、サプリメントとして広く服用されています。