医師から処方された薬を、患者さんが指定されたとおり服用することを服薬遵守といい、コンプライアンスともアドヒアランスともいいます。
ただ同じ服薬遵守でも、コンプライアンスは多分に受動的、アドヒアランスは逆に能動的といえます。
医師の側からいえば、指定したとおり薬を飲んでもらうことは、治療するうえで絶対条件といえます。
このように患者さんが、医師の指示に従ってきちんと服薬する態度をコンプライアンスが良いといいます。ここでは、医師の指示に従うかどうかが問題となります。
ところが、患者さんが薬の内容を理解できていない、薬の効果を信用していない、副作用を恐れているなどの状況下では、服薬はしばしば守られず、コンプライアンスが悪いということになります。
当然ですが、治療効果はあまり上がりません。したがって医療サイドからもっと患者さんに働きかけて、十分な説明と理解をえる努力が必要になります。
アドヒアランス
一方、医師の指示どおり忠実に服薬するのではなく、患者さん自身が自分の治療に積極的に関わり、自分が責任をもって服薬を遵守するという態度をアドヒアランスといいます。
この場合、医師から薬の効果や副作用の説明を十分うけたうえで薬の内容を決定し、服薬するわけですから、勝手な服薬中断や不規則な服用は少なくなります。
実際、医療の現場では、従来の医師主導によるコンプライアンスから患者さん主体のアドヒアランスという考え方に移行しつつあります。