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医の倫理

救世主兄弟

Brother
病気の兄や姉の命を助けるのを目的に、免疫に関連する遺伝子型が兄姉と同一の受精卵から誕生した子を、救世主兄弟と呼びます。おもに白血病など血液の病気に対し、骨髄移植をして兄や姉の命を救おうというのです。

具体的には、人工授精を行ってできた受精卵から、免疫の型(MHC)を1つ1つ遺伝子検査して、その結果、MHCの型が兄や姉と一致する受精卵を選び、母親の体に戻して出産します。

MHCの型は兄弟間なら一致する確率が4人にひとりと高いのですが、他人の場合には数万あるいは数十万人に一人しか一致しないといわれているのです。

こうして生まれた子供が、兄姉に臓器を提供する際には、提供をうけた兄姉は拒絶反応という最も厄介な問題から開放され、免疫抑制剤を飲み続ける必要がなくなるのです。

良心に従う臓器提供

臓器提供については、白血病などに対する骨髄移植なら大問題にはなりませんが、肝臓の一部なら影響が少ないのでもらっていいだろうとか、腎臓は2個あるから1個ならいいのではとか、だんだん要求がエスカレートしそうです。

ドナーとなる子供は、両親の意向だけで生まれてくるため、臓器提供に対して本人の意思はまったく反映されておらず、しかも一生兄姉のドナーという役割を背負わされるため、世間から人権無視、人権侵害という非難を浴びそうです。

現在、アメリカを中心に救世主兄弟は200人以上が生まれていますが、アメリカ国内に法規制はなく、良心に従うということになっています。

また、イギリスでは4年間の大論争を経て、救世主兄弟は血液の病気に限定するという条件付きで法律が制定されました。

これに対し、いまだ我が国では議論の俎上に載せる状況にはありませんが、いずれ国民的議論の対象になるものと予想されます。