新型インフルエンザは2009年11月をピークに、沖縄を除き全国的に減少に転じています。
しかし、今なお、小中学校では4,900校の学級閉鎖、1,800校の学年閉鎖、400校の休校が続いています。
2009年12月までに、新型インフルエンザの感染者は1,500万人に増え、死亡者数は146名になりました。
意外なことですが、新型インフルエンザの大流行で、季節型インフルエンザの発生が抑制された形になり、現在、季節型は例年の1割程度にとどまっているのが実情です。
新型インフルエンザは季節型インフルエンザに比べ感染力ははるかに強いのですが、そのわりに死亡するケースは少ないようです。
ただし、このウイルスは肺の中に入り込みやすいため、ほかのインフルエンザウイルスと異なり、肺炎を起こしやすい危険があります。
短期的にみれば、感染者数は徐々に減っていますが、再び増加に転じることは過去いくらでもあり、まだまだ安心はできません。
我が国では20歳以下の若者の感染が80%を占め、小中学生の約7割が感染し、すでに免疫ができているのではと考えられています。
一方で中高年の感染は、せいぜい5%程度に留まっているのではないかと予測されています。
最近の研究では、新型インフルエンザに対する免疫を持っているのは90歳以上の人達のみで、ほとんどの人は免疫をもっていません。
したがって今後は中高年の方々の感染が心配されているのです。下火になったと安心せず、予防接種を受けておいてください。
新型インフルエンザウイルスの変身
また、それ以上に恐れられているのが新型インフルエンザウイルスの変身です。
そもそもウイルスはわずか数日で変異し、容易に新しいウイルスに生まれ変わる性格をもっています。
さらには複数のウイルスが混じり合って新しいウイルスに変身する性格ももっています。
このため、今まで弱毒であったウイルスがこの変身でいきなり猛毒化することがありうるのです。
2008年、インドネシアに発生したトリインフルエンザは致死率60%と極めて猛毒でした。
ただ余りにも致死率が高いため、まわりに伝播する暇がなく、かえって広がらなかったのです。
もしこのトリインフルエンザウイルスが、猛毒化した新型インフルエンザウイルスと混じり合うような事態が起これば、想像を絶する猛毒ウイルスができあがります。
スペイン風邪のように数千万の人命を奪う恐ろしい“感染爆発”がおこる危険をはらんでいるのです。