慢性膵炎では膵臓の働きが比較的保たれている時期と、ほとんど働かなくなった時期にわけて考える必要があります。
1.膵臓の働きが保たれている時期
この時期には腹痛を繰り返すのが常ですが、消化吸収はなんとか保たれています。
痛みの強い時期には鎮痙薬、鎮痛薬を投与します。
腹痛の程度が軽い場合は消化酵素剤や蛋白分解酵素阻害剤の経口投与をおこないます。
食事は、胃の停留時間が少なく膵臓に負担の少ない炭水化物を中心とした内容がお勧めです。脂肪は一日30グラムまでに抑えてください。脂肪を制限するため、ビタミンA、D、E、Kなど脂溶性ビタミンの補給が必要です。
膵管の狭窄のために腹痛を繰り返す場合や、膵嚢胞や膿瘍が悪化する場合は、膵管内へチューブを入れ膵液の流れを改善したり(ドレナージ)、膵臓の一部や神経を切除することもあります。
2.膵臓の働きが保たれなくなった時期
この時期にはもはや腹痛はおこらなくなりますが、消化吸収が悪化し栄養不良となります。
また糖尿病をおこしてくるため厳重な食事療法とインスリン療法が必要になります。
この時期は、過度に食事を制限したり脂肪を制限すると、かえって栄養状態が悪化してしまうので、糖尿病の状態をみながら、一日30~35キロカロリー/㎏体重までを許容範囲とし、脂肪制限も40グラム/日まで許容と、かなり緩くします。
さらに、食前に制酸剤を飲んだり、食事中に消化酵素剤を飲んで膵臓の働きを助けるようにします。