胃粘膜下腫瘍とは胃の表面(粘膜)よりも下に病変があり、これが粘膜を押し上げるために乳房のような形に盛り上がったものをいいます。
腫瘍そのものは表面に出ていませんから、診断は容易でありません。
しかし小さいものはほとんど良性であるため、経過観察でよいとされています。
ただし腫瘍が急に大きくなってきたり、腫瘍表面に潰瘍をつくったり、直径3cmを超えるようになれば、悪性化が疑われるため、超音波内視鏡検査やCT検査を行って手術するかどうかを決定します。
胃粘膜下腫瘍のなかで最も多いのがGIST(ギスト)と呼ばれる間葉系腫瘍です。
c-kit遺伝子に変異をもち、その遺伝子産物であるKITが陽性の間葉系紡錘形ないし上皮様細胞腫瘍と定義されています。
腫瘍サイズ、核分裂像、転移浸潤の有無が良悪性の目安ですが、悪性GISTの化学療法剤としてメシル酸イマチニブが有用です。
また、粘膜下腫瘍ではあるものの、リンパ組織が悪性化するため柔らかで丈が低く、しばしば潰瘍をつくってくる悪性リンパ腫という病気があります。
その中身は、炎症の性格が強くピロリ菌感染が深く関わっている低悪性度のMALTリンパ腫から、高悪性度の悪性リンパ腫まで広範囲にわたります。
MALTリンパ腫にはピロリ菌の除菌療法が、悪性リンパ腫には胃全摘およびリンパ節郭清術が通常おこなわれます。