胃には食物を貯める働きと、十二指腸へ送り出す働きがありますが、不安・いらいら・過労・不眠などで胃に強いストレスがかかると、胃の動きが悪くなり、食物を十分消化できないため、膨満感や吐き気、腹痛、食欲不振がおこってきます。
つまり、胃に傷はないのに、このような症状がみられる病気を機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)と呼んでおり、次の3つのタイプがあります。
1つ目は胃酸が逆流するタイプで、胸焼け・ゲップが主症状です。
胃の内圧が高くなるとお腹が張って苦しくなり、空気やガスを吐き出そうとしてゲップが出ます。
胃は風船のようなもので、まわりから圧迫すると胃のなかのガスは食道へ逆流しようとします。
この場合は胃酸を抑え、胃を圧迫しないようにしなければなりません。
したがって過食を避け、食後前かがみにならないこと、炭酸や甘いもの・イモ・豆類を控え、制酸剤や運動促進剤を処方してもらう必要があります。
2つ目は胃が動かないタイプで、膨満感・吐き気・食欲不振が主症状です。
胃の動きが悪くなると、胃液が十分出ないため、食物を粥状に消化できません。
そのため、食物がいつまでも胃の中に残って十二指腸へ出て行かず、膨満感や吐き気・食欲不振がつづくのです。
これを改善するには、食事時間を規則的にして過食過飲を避け、消化のよいものを摂るよう
にしなければなりません。
薬剤は従来モサプリド(商品名:ガスモチン)が使われていましたが、近年、アセチルコリン分解酵素の作用を阻止するアコチアミド(商品名:アコファイド)も頻用されています。
3つ目は胃潰瘍に似た症状を示すタイプで、空腹時や夜間に腹痛を来します。
締め切りが迫るなか仕事に追われるサラリーマンや、受験勉強中の学生など、心理的、物理的ストレスが主な原因になっていると考えられています。
このため、胃にもたれる炒め物や揚げ物を避け、消化のよいお粥や煮物を摂るようにする必要があります。就寝前3時間は食事を摂らないこと、一度に食べ過ぎないことも重要です。
胸やけや腹痛に対しては、胃酸の分泌を抑える薬や鎮痙剤が使われます。
さらにストレスを軽くするため、抗不安剤や自律神経調節剤も併用されることがあります。