2009年10月、我が国の新型インフルエンザの感染者は738万人になったそうです。
このくらいで落ち着けば、例年なみといえますが、まだ今後、増え続けるかどうなるか今のところ予測しきれません。
新型というのは、人類が経験したことのないヒト型インフルエンザという意味です。
したがって、今回の大仰な対策を笑う人もいますが、どれほどの毒性があるか分からないというのは不気味といえます。
やっと最近になって、思ったほど重症にはならないようだと分かってきました。
しかしおおかたの場合にはそう言えますが、一部の人では、あっという間に肺炎をおこして死の危険に晒されることになりますから、安心できません。
春頃は高校生がよく感染していましたが、最近5歳から10歳の子供たちがよく罹るようになっています。
ところが死亡者をみると、50~60歳の働き盛りがもっとも多く、子供の死亡数は比較的低いのです。
お元気な中高年のかたがたは特にご用心ください。
例年冬に流行るインフルエンザでは、寝たきり老人や免疫力の落ちた病人の死亡例が目立っていましたが、今度の新型は普段元気な人が突然死亡しているのが特徴です。
マスクやうがい、手洗いなどとばかにしないで、励行してください。
マスクは意味がないという意見もありますが、そんなことはありません。
WHOの話しでは、マスクを買えない国々もあるので、絶対条件には出来ないということです。
発病しない動物たち
そもそもインフルエンザのウイルスは空から降って来るのではありません。
運んでくるのは“鴨”という渡り鳥で、腸のなかに144種類のインフルエンザウイルスを大量にもっているといいます。
しかも鴨自身はそれで発病することはないのです。
冬に飛来し湖沼に排泄するため、湖沼のなかも周りもインフルエンザウイルスで満ち満ちていることになります。
そこへアヒル・ニワトリ・七面鳥・豚・ねずみなどの家禽類が出向いてウイルスをもらってくるというわけです。
毎年、鳥も豚もインフルエンザウイルスに感染しているのですが、発病することはありません。元気です。
突然変異
はなしは変わりますが、インフルエンザウイルスは身の保全を図って、めまぐるしく姿を変える性質(突然変異)があります。
144種のウイルスのうち、H5N1型のインフルエンザウイルスはもともと毒性が強いのですが、これが変異して姿を変え、さらに猛毒となってニワトリを襲いました。
ニワトリ大量死亡の真相です。これが今度は人へも感染するということになったから、大騒ぎになりました。
ニワトリのインフルエンザはニワトリだけにしかうつらず、人にはうつらないと信じられていたからです。
ニワトリみたいになっては大変とワクチンをつくろうとしていた矢先、今度は豚に異変がおきました。
豚インフルエンザウイルス(H1N1型)をもっていた豚のからだに、人のインフルエンザウイルスとトリのインフルエンザウイルスの遺伝子が混入して交じり合い、ヒトからヒトへ感染する新しいタイプのウイルスが誕生したというのです。
これが今回の新型インフルエンザウイルスです。
これに対し、今やっと、医療関係者、妊婦につづいて学童のワクチン接種が始まろうとしています。
覚えておかないといけないのは、このワクチンを打てば新型インフルエンザにかからないというのではありません。
罹っても、重症にならずにすむようだというふうにご理解ください。
また、このワクチンは例年はやる季節型インフルエンザには効きません。季節型のワクチンも早めに打っておいてください。
もしも両方のインフルエンザが同時に流行するようなことになれば、危機的状況になるからです。