1994年にWHO(世界保健機構)がピロリ菌の発ガン性を認定しました。
すなわち、ピロリ菌によって胃の粘膜の萎縮がひきおこされ、ピロリ菌により発生するモノクロラミンがDNAを障害し、ガンを発生させる危険があるというものでした。
その後の研究で、CagA 遺伝子をもったピロリ菌は、注射針のようなものを胃の細胞に刺し込み、毒性の強いタンパク質(CagA)を注入するのですが、これが発ガンに結び付くのではと考えられています。
すなわち、ピロリ菌が分泌する VacA などの毒素やピロリ菌が産生する CagA などの病原因子が胃粘膜を直接傷害し、動員された白血球による組織傷害なども加わって炎症を悪化させます。
また炎症による組織修復が繰り返されることによって、ガン化のリスクが上昇するといわれています。
さらに CagA などの病原因子が細胞増殖を促進したり、アポトーシスを抑制することで、胃癌や MALT リンパ腫(悪性リンパ腫の1種)が発生してくるのではと考えられています。