メタンハイドレートはメタンが水の中に入ってシャーベット状に固まったもので、メタンが天然ガスの主要成分であることから、この氷の塊に火をつけると、メタンが分離して燃えるのです。このため「燃える氷」とも呼ばれています。
このメタンガスを燃やした時に出るCO2量が石炭・石油にくらべ約半分である点は特筆されるでしょう。また逆に得られるエネルギー量はシェールガスの2倍以上という利点をもっています。
我が国の燃料の自給率は、石油が約0.3%、天然ガスが3%と極端に低く、ほとんどを海外からの輸入に頼っています。
ところが近年、資源の少ない我が国にとって夢のようなはなしですが、日本近海の海底下には約100年分のメタンハイドレートが眠っていることが判明したというのです。
ただ、天然ガス田では掘削すればガスが自噴しますが、メタンハイドレート層は固体のため自噴することはありません。
さらに、通常メタンハイドレートはまとまって存在せず、薄く浅く広がっているため、井戸を掘って回収するのも困難です。
そこで現在、固体のメタンハイドレート層からメタンガスを遊離するためのさまざまな試みがなされています。
日本海に存在するメタンハイドレート塊
現在確認されている日本海側のメタンハイドレートは、水深500メートル以上の海底の表面に一部が露出し、比較的塊りの状態になっています。
このため、ポンプでメタンハイドレート結晶を吸い上げるか、海底に鉄鋼製の容器を降ろし、メタンハイドレート鉱床を水流で砕いてメタンガスを吸い上げる方法が検討されています。
また、東部南海トラフ海域のメタンハイドレートは、水深1000メートルの海底面からさらに数百メートル下にある地層中に、砂と混じり合って存在しています。メタンハイドレートは地層深くなると地温が上がってガスに変わります。
しかしこのメタンガスを海上まで採り出すのは極めて難しいため、地層内の圧力を下げることによって、メタンハイドレートをメタンガスと水に分解して回収する方法が試みられています。
このほか低コストでメタンガスを回収するために、温水圧入や坑井加熱法、メタノールなどの分解促進剤の注入法、二酸化炭素との置換法などが検討されています。
この採掘が成功し軌道に乗るようになれば、我が国は一挙に資源大国になる可能性があるのです。国家戦略のひとつに位置づけられているのも当然といえましょう。