我国の国土は決して大きくはありませんが、排他的海上水域は世界6位です。
したがって、この広い海からなんとかエネルギーを取り出せないかという取組みが、長い間おこなわれてきました。
大きく分けて、海上のエネルギーを利用して発電しようとする試みと、海中のエネルギーを利用する試みがあります。
海上のエネルギーとは、波力発電というもので、波の上下を圧電にむすびつけたものです。
海中のエネルギーとは、ひとつは潮流発電といってプロペラのついた発電装置を海底に設置し、潮流を利用してプロペラをまわし発電しようとするものです。
海洋温度差発電
もうひとつは、深海から冷たい水を引き上げ、地上の水との温度差を利用してつくる海洋温度差発電で、2013年より沖縄久米島の海洋深層水研究所に発電プラント(出力50キロワット)が動き出しています。
その仕組みは、水深1kmの深海から冷水(約8度)を汲み上げ、海洋表層水(約26度)との間の熱の移動からエネルギーを取り出そうというものです。
赤道から20度以内の海洋であれば、表層と深海で約20℃の温度差があるため温度差発電のよい適応になるのです。具体的には、熱交換器によって沸点の低いアンモニアを循環させます。
そして温度の高い表層水でアンモニアを気化させ、その蒸気で発電タービンをまわします。その後アンモニアは温度の低い深層水で液体に戻し、リサイクルできるようにするのです。
同じ海洋エネルギーでも温度差発電は波力の8倍、潮流の25倍以上の能力があるといわれています。
また汲み上げた深層水は、ビルの冷房に使われたり、土壌を冷やし野菜や果物の栽培を容易にします。さらには、クルマエビやサーモンの養殖、化粧品、グリーンキャビアなど深層水関連企業にもおおいに利用されています。