運動を始めると、血液中の糖が消費されますが、だんだんなくなってくると、肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲンを使うようになります。
それもなくなると、からだの脂肪を燃やしてエネルギーにします。
エネルギーの源となるのが、ATP(アデノシン3リン酸)といわれる物質で、これが分解するときに発するパワーが筋肉を収縮させて運動することができるのです。
口から入った食物がエネルギーに変えられるには、クエン酸回路というエネルギー生産工場でクエン酸など8種類の酸に分解されていき、酸化されることによってATPが生まれます。
まずは摂取した糖、タンパク質、脂肪が酵素の働きで「アセチルCoA」になり、次いで酵素の働きでクエン酸になり、さらに燃焼されてエネルギーが生まれていきます。
クエン酸はこのエネルギー回路を回すための着火材の働きをします。
十分な酸素と栄養素があれば、筋肉のエンジンといわれるクエン酸サイクルに乗って、次々にATPをつくることができるのです。
クエン酸はかんきつ類に多く含まれる酸味の成分(有機酸)です。
運動をすると肝臓や筋肉のグリコーゲンが使われ、徐々に不足してきますが、クエン酸と糖分を一緒に摂ると、使われたグリコーゲンが早く回復することが分かっています。
さらにクエン酸には、カルシウムや鉄などを包み込んで、からだに吸収されやすくする「キレート作用」があります。
つまり、牛乳やちりめんじゃこにレモン汁を入れるとカルシウムの吸収がよくなるのです。
クエン酸はさわやかな酸味で日本人に好まれますが、摂りすぎると脂肪酸が合成され、中性脂肪として貯蔵されるため、ダイエットには不向きです。
しばしばクエン酸と酢は混同されがちですが、クエン酸がレモンの酸味で、成分の大半がクエン酸であるのに対し、酢は米、果物などからつくられ、酢酸が主成分で、クエン酸はわずかしか含まれていません。
またクエン酸は無臭であまり酸っぱくありませんが、酢は鼻にツンとくる強い酸味があります。