”ATPが不足した”という。
エネルギー不足の意に使われることが多い。
ATPはアデノシン三リン酸といい、アデノシンに3個のリン酸基がくっついています。
1個のリン酸基がはずれる毎に、8キロカロリー(1モルあたり)のエネルギーを生み出すため、エネルギーの貨幣といわれています。
このエネルギーを使って筋肉を動かします。
私たちが運動するときには、最初は血液中の糖(血糖)を分解してATPを得てエネルギー源にしますが、数分間でなくなるため、その後は、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンをブドウ糖に分解してATPを得、エネルギー源にします。
ブドウ糖1コ(Ⅰ分子)からは2コのATPが生まれますが、グリコーゲン1コ(Ⅰ分子)からは3コのATPが生まれます。
しかしそれでも からだに貯えられたグリコーゲンはわずかで、静かにしていても一日で使い切ってしまいます。
この最初の分解は、酸素がなくても出来るため、無酸素呼吸といわれます。
これではすぐにエネルギー不足になってしまうため、この分解の途中から、酸素を補ってあげると、事態は急変します。
筋肉のエンジンといわれるクエン酸回路にはいって、爆発的にATPを生み出していくのです。
ちなみにグリコーゲン1コ(Ⅰ分子)からは38コのATPが生まれます。
さらにグリコーゲンが底を付くと、今度は 体の脂肪を燃やしてエネルギー源とします。
脂肪は非常に高いエネルギーをもっていますが、そのままでは吸収されず脂肪酸の形でしか利用されません。
このときも、クエン酸回路を利用します。
1コの脂肪酸から実に100コ以上のATPを生み出すことができるのです。
息を止めてするような激しい運動にくらべ、ゆったり呼吸しながらおこなう運動は、酸素補給がゆきとどくため、豊富なATPを得て、疲れがたまりません。