カニやエビの殻に含まれる動物性の食物繊維がキチン。水にも酸にも溶けませんが、キチンをアルカリで処理して酢や胃酸に溶けるようにしたものがキトサンです。
キトサンは食物繊維ですから便秘を改善し、脂肪がからだに吸収されるのを抑え、コレステロールの上昇を防ぎます。
このため、厚生労働省より「コレステロールの高い方または注意している方の食生活の改善に役立ちます」という表示が許可され、特定保健用食品(トクホ)として販売されています。
またキトサンはプラスに荷電しているため、マイナスの電気を帯びた細菌やウイルスを体外に排出します。
これを利用して抗菌防臭繊維と銘打った靴下や下着が売られています。
さらに、人体に有害な金属や毒素を排出するほか、動物実験ではありますが免疫を高める働きや、ガンを抑制する働きが認められています。
現在では手術用縫合糸や神経、皮膚の再生医療素材ばかりでなく、食品・化粧品・衣料品・家具など、広い範囲に応用されています。
とくに、キチンを用いた被覆剤を傷口に貼ると欠損皮膚が再生されやすいことから、創傷被覆剤が商品化(商品名:ベスキチン)されています。
一方、キトサンは、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を抑える副作用や、カニやエビのアレルギーがあるかたには、蕁麻疹の出る可能性があるため、誰にでも適応というわけにはいきません。