糠(ぬか)とは、穀物を精白した際に出る果皮や種皮、胚芽などの部分をいいます。我が国では米から出るものがよく知られるため、米糠のことを単に糠と呼ぶのが一般的です。
油の成分が多いため、油を搾ったり(米ぬか油)、栄養価が高いので、乳酸発酵させてつくった漬物の一種、糠漬け(=ぬかみそ)として、しばしば用いられます。
我が国では江戸時代、入浴時に肌を洗うのに、米ぬかを入れたぬか袋が使われていました。現在でも、一部の肌が弱い人やアレルギー体質の人には、依然として米ぬかが洗剤として用いられています。
また米ぬかは肥料として土の上に撒かれたり、家畜の飼料として配合されたりします。さらにはぬか袋として、柱や床を磨き上げる際、ワックスの代わりに用いられることもあります。
また最近では、米ぬかを原料とするセラミックスがつくられ、軽量ながら強度に優れ、摩耗しにくく、すべり軸受やすばる望遠鏡の赤外線分析装置の可動部にも使われています。
糠は「細かい」とか「ささいな」、「はかない」という意味で使われるようになり、はかない喜びをぬか喜び、霧のように細やかな雨を小ぬか雨と呼ぶようになりました。