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医の倫理

負傷者を選別する“トリアージ”

Savior
トリアージはナポレオンの時代、戦傷者のうち軽傷者を手当てして戦線に復帰させ、重症者は後回しにするという戦略的な言葉としてつかわれました。

今日では、災害発生時などに多数の傷病者が同時に発生した場合、本当に助けられる人を少しでも多く救助する目的で、負傷者を重症度や緊急度に応じて振り分け、治療に優先順位をつけることをいいます。

つまり、限られた医療スタッフで限られた医薬品を最大限、効率よく用いるためには、最も必要な負傷者にこそ使わなければなりません。そのため、負傷者を重症度、緊急度などによって4つに分類し、その優先順位に従って病院を選定して患者を搬送し、治療を行うのです。

トリアージでは、具体的に負傷者をつぎの4群に分類します。

優先順位

第1順位は最優先グループで、はやく治療すれば生命を救える重傷者が対象で、赤色のタッグをつけます。

第2順位はただちに治療しなくてもと命に別状はありませんが、入院して手術が必要な負傷者で黄色のタッグをつけます。

第3順位は外来治療で対応できる軽傷者で、緑色のタッグをつけます。打撲ややけど、小骨折などのため、救急車でなく、バスなどで近くの医療機関へ行ってもらいます。
 
第4順位が選別上一番問題になる、手出しをしないグループです。

まだ息があるのに、生命を救える見込みのないと判断すると、黒色のタッグをつけ放置するという非情な行為をとります。高度の頭蓋骨変形と脳の脱出した頭部外傷などが対象となります。こうしなければ、本当に救える人が救えなくなるという厳しい現実があるのです。やむを得ない処置と考えざるを得ません。