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再生医療

再生医療の現況(2014)

再生医療とは、手足など体の一部が事故などで切断した場合、欠損した組織の回復をめざす医療分野です。

従来の工学技術による人工臓器では限界があり、他人からの臓器移植は移植適合性などの困難を抱えていることから、自分のからだの組織を用いた再生医療には絶大な期待がかけられています。

全身大やけどの重症患者に、切手サイズの皮膚組織を数千倍に培養増殖させて火傷皮膚を覆い、救命に成功したというニュースを聞いたことがあるでしょう。

これは見事な成功例ですが、再生医療はまだまだこれからという状況なのです。

自己細胞を使った再生の試み

たとえば、角膜を患ったひとへの角膜移植はドナー提供者が少なく拒絶反応があることから、自己細胞を使った再生角膜による治療が試みられています。

また、犬・豚の顎の骨の細胞から完全な歯を再生することに成功はしましたが、人への応用はまだ実用化の段階ではありません。

さらに虚血性心疾患の心臓に、本人の骨髄細胞を移植したり、ES細胞からドーパミンやインシュリンを作る細胞を得て、アルツハイマーや糖尿病の脳や膵臓に移植する研究も行われています。

 

しかし、何といっても、今もっとも期待を集めているのが、ノーベル賞受賞者・山中伸弥教授のiPS細胞(人工多能性幹細胞)」による再生医療です。

iPS細胞はどのような臓器にも作製可能で、拒絶反応もおこらないため、近い将来必ず実現化できるものと思われます。

一方、受精卵を材料にして作られた胚性幹細胞(ES細胞)も、iPS細胞と同様、どのような臓器にでも変化する能力を持っています。

また培養皿の上で一定の条件下に置くと、いくらでも自分のコピーを作り出せるのです。したがってこれが実用化されれば、飛躍的に臓器移植が進歩するものと期待されます。

ただ、ES細胞に関しては、ヒトの初期の細胞であるため、倫理問題で研究が進みにくい事情があるのです。

第三の再生研究

そこで3番目の方法として、体性幹細胞を育てて使う研究が進んでいます。これはiPS細胞やES細胞のように、どのような細胞にでも変化することはできませんが、肝臓なら肝臓にだけはなれる幹細胞というものがあって、それを再生医療に用いようとしているのです。

実際、白血病治療の現場では、骨髄から採取した造血幹細胞移植が実用化されているのです。