うつ病でありながら憂鬱・意欲の低下・自殺観念等のうつ症状が目立たず、疲労感・頭痛・肩こり・食欲低下・下痢・発汗・動悸・しびれ・めまいなどの身体症状が前面に出てくる場合があります。
この場合、症状が多彩なため、うつ症状がマスク(仮面)されてしまうことから、仮面うつ病の名があります。
ただ、うつ症状というほどではなくても、ものごとを悲観的に考えるとか、外出したくない、新聞やテレビを見たくない、出社したくないなどの症状がみられます。
本人はうつ病だということを知らず、症状を紛らそうとして、アルコールや睡眠薬の依存症になったり、仕事を放棄してしまうことがあります。
几帳面で責任感の強いひとに多く、受験・就職・転勤などを契機に発病します。
目の前のストレス
治療の基本は患者さんをストレスから解放してあげることです。励ましは逆に責任を感じてしまい、それがストレスとなって病状を悪化させます。
また、転職や退職など重大な決断はなるべく後回しにして、目の前のストレスから回避させてあげることが大切です。
仮面うつ病は比較的軽症のため、いきなり薬物療法をおこなうのではなく、まずはカウンセリング(精神療法)をうけるようにしてください。
そして心療内科の専門医に治療計画をたててもらい、十分に時間をかけて治療に取り組むことが大切です。
微笑みうつ のあやうさ
また最近、中高年を中心に微笑みうつ病と呼ばれるうつ病が増加しています。
微笑みうつ病は軽症のうつ病ですが、気分不良にも関わらず、周囲にそれを悟られまいとして、無理矢理笑顔をつくるのが特徴です。
集中力の欠如や寝つきの悪さから、自分でもひょっとしたら、うつ病ではないかと疑い始め、それを隠すために、作り笑いをしてでも元気であることをアピールしようとするのです。
重症のうつ病では死にたいと思ってもパワー不足のため、実行されることはあまりありません。
しかし、まだ気力が残っている微笑みうつ病の場合には、実際に自殺してしまうこともありますので、まわりが注意してあげることが必要です。