腸アメーバ症
海外渡航者や男性同性愛者にみられることが多く、性感染症(STD)の1つとも考えられています。
成熟嚢子の経口摂取により感染し、主に直腸・S状結腸と盲腸などの深部大腸が冒されます。
下痢、粘血便、しぶり腹、排便時の下腹部痛があり、イチゴゼリー状の粘血便を排泄し、増悪と寛解を繰り返します。
血行性にアメーバが肝臓などへ送られると、肝膿瘍をつくり発熱(38~40°C)、腹痛、嘔気、全身倦怠などを来たします。
糞便顕微鏡検査か粘膜生検組織検査で赤痢アメーバ(栄養型)をみつけるか、血清アメーバ抗体価が診断の根拠になります。
特に同性愛者の場合には、梅毒やHIV(エイズ)感染を合併していないか検査しておかねばなりません。
殺アメーバ的な作用のあるメトロニダゾールを1週間投薬し、うまくいかない場合はテトラサイクリンを併用します。
また20~40%に肝膿瘍を合併しているため、巨大な膿瘍には肝ドレナージを行います。
サイトメガロウイルス(CMV)腸炎
サイトメガロウイルスの約半数はHIV(エイズ)感染者にみられ、残りは潰瘍性大腸炎や臓器移植・骨髄移植に伴って出現します。
健康な時にはおとなしく隠れていて、エイズにかかったり免疫抑制剤やステロイド剤を使用して免疫力が低下すると表に出て活動を始め(日和見感染といいます)、大腸に深い掘れ込んだ潰瘍を作ります。
治療薬にはガンシクロビル(抗ウイルス薬)やホスカネットを用います。