プロスタグランディン(PG)とは、からだのあらゆる組織でアラキドン酸から産生される不飽和脂肪酸の総称で、ホルモンに似た働きをします。
つまり、プロスタグランディンにはいくつもの種類があるため、血圧の上昇や降下・血管の拡張・血小板の凝固阻害・子宮の収縮・平滑筋の収縮・末梢神経への作用など、様々な生理作用を示します。
多くはそれぞれ独自の働きをしますが、なかには互いに拮抗する働きをするものもあります。
プロスタグランディンは、炭素原子の2重結合の数により、主としてE1・E2・E3の3種類に分類され、E1とE3は善玉、E2は悪玉として働きます。
つまりE1は血小板の凝集抑制(血液をサラサラにする)や血管を広げる働きをします。また、E2は発熱や疼痛をおこし、血小板が固まって血栓を作りやすくします。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞をおこしやすくなります。また平滑筋を緩徐に収縮させるため、気管支喘息もおこしやすくなります。
解熱鎮痛薬の働き
風邪をひいたときに飲む解熱鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症剤)は、E2の生成を阻止する目的でつくられています。
近頃、プロスタグランディンはコックス(COX)という酵素でつくられ、そのうちコックス1が胃粘膜の保護を、コックス2が発熱や疼痛を起こすことが分かってきました。
このためコックス2だけを阻止する抗炎症薬が研究開発されてきましたが、血栓や心疾患を引き起こす危険性が指摘されたため、今のところ開発途上で留まっています。
プロスタグランディンには、子宮を収縮させる作用や、血管を広げて血流を改善したり、胃潰瘍の発生を防ぐ作用があるため、しばしば治療薬として使われています。
代表的な医薬品としては
E2, F2αが子宮収縮薬に
E1, E2誘導体が胃潰瘍薬に
使われています。
プロスタグランディンは構造が必須脂肪酸(健康維持に欠かせない脂肪酸)に似ており、それゆえ必須脂肪酸のオメガ-3(αリノレン酸)やオメガ-6(リノール酸)を原料にして造られています。
このうち特にオメガ-3は不足がちになるため、青魚や海藻、シソ油、亜麻仁油などを積極的に摂ってください。