物質を構成する最も小さな単位を原子といいます。原子は原子核という小さな球の周りをいくつかの電子が何重にも取り囲んで、ぐるぐる回っています。
太陽のまわりを回る地球や火星を想像してください。太陽が原子、地球や火星などが電子にあたります。
違うのは地球や火星が1個ずつであるのに対し、電子は普通2個ずつペアーで原子核のまわりを回っているのです。
このとき、電子はエネルギー的に非常に安定しています。
ところがなにかの理由で、電子が一つの軌道上に一個しかなくなる場合があります(不対電子という)。
するとその原子は非常に不安定になり、まわりにある分子から無理矢理不足した電子を剝ぎ取って、自分は安定した状態になろうとします。
酸化と老化
この過激な原子のことをフリーラジカルと呼び、強引に電子を剝ぎ取る行為を酸化といいます。
フリーラジカルの代表は活性酸素です。
私たちが呼吸によって取り込んだ酸素の2%は、エネルギーを産生する過程でスーパーオキシド・ラジカルという活性酸素を発生します。
通常、酸素分子には16個の電子がありますが、スーパーオキシド・ラジカルには17個の電子があって、そのうち1個が不対電子となってフリーラジカルになるのです。
フリーラジカルは遺伝子本体のDNAを損傷し、ガンの発生を促します。
また、からだの細胞を包んでいる細胞膜を傷つけて、過酸化脂質を発生し、老化を進めます。
さらに細胞を構成しているアミノ酸を酸化し、カルボニル化合物を産生する結果、細胞の老化・からだの老化を推し進めることになります。
フリーラジカルは紫外線・放射線・電磁波・排気ガス・喫煙・ストレス・ダイオキシンなどにより発生します。
このようなフリーラジカルの害を防ぐために、活性酸素を消し去る酵素(スーパーオキシド・ジスムターゼ)や数多くの抗酸化物質、DNA修復酵素などが、絶えずフリーラジカルを排除してくれているのです。