乳幼児の嘔吐下痢症の原因としてもっともよく知られているのが、ロタウイルス胃腸炎です。
3月から5月にかけて流行し、潜伏期は1~3日、嘔吐と下痢に加え発熱、腹痛をおこしてきます。下痢は数日つづいて治りますが、まれに重症化して脳症,脳炎をおこすことあります。
ロタウイルスは患者の便に大量に含まれており、この便を処理したひとの手にウイルスが付着し、まわりへ感染が広がっていきます。
感染力が強く、5歳までにほとんどの子どもがロタウイルスに感染するといわれています。ただし成人するまでに、何度もロタウイルスの感染をうけるため、通常大人では症状は出ないのが特徴です。
ロタウイルス胃腸炎の診断法は、便を用いて20分程で結果が判明する迅速診断検査(イムノクロマト法)が用いられますが、正確さにやや問題があります。
抗ウイルス剤のないロタウイルス
ロタウイルスに効く抗ウイルス剤はなく、下痢のため脱水に陥りやすいやすいので、スポーツドリンクなどにより水分の補給を行う必要があります。脱水症状がひどい場合は、医療機関で点滴をうける必要があります。
ロタウイルスの消毒にあたっては、手洗いや洗濯は次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)液を用いる必要があります。アルコールは無効です。また、オムツを交換するときには使い捨てのゴム手袋などを使い、ポリ袋などに入れてから捨ててください。
日本では、2種類のロタウイルスのワクチン(単価と5価)が承認されていて、単価ロタウイルスワクチン(2回接種)は生後6~24週の間、5価ロタウイルスワクチン(3回接種)は生後6~32週の間が適応です。