歯垢、ミュータンス菌、虫歯
口の中には300種類の細菌がいますが、虫歯の原因となりうる菌は10数種類で、なかでも「ミュータンス菌」はとくに厄介な虫歯菌です。その多くは、幼少時、母親から口移しにうつされるといわれています。
砂糖などの糖分を摂ると、ミュータンス菌は口の中で砂糖と結び付き、グルカンというネバネバした液となり、歯の表面で固まり、歯垢となります。
ミュータンス菌はこの歯垢を棲家として住み着き、糖分を摂るとこれを分解して酸を産生します。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かす結果、そこから歯の成分であるカルシウムやリンが抜けて虫歯になるのですが、これを脱灰といいます。
再石灰化
一方、ミュータンス菌が除去され、だ液によってカルシウムやリンが補われると、エナメル質の表面は元の状態に戻ります。これを再石灰化といいます。
食事をすると口の中は酸性になり脱灰が進みますが、食後1時間ほどすると中性付近に戻り、再石灰化が始まります。日頃、私たちの歯の表面では、この現象が繰り返されながら、虫歯を防いでいるのです。
ところが、ミュータンス菌によって歯が溶け出したまま放置すると、ついでラクトバチルス菌(乳酸菌の一種)が繁殖し、虫歯を進行させてしまいます。
私達の唾液には殺菌作用があるため、普段は虫歯菌の働きを抑えています。
しかし寝ている間は、唾液が出なくなるため、虫歯菌が活動し始めます。
歯磨き、キシリトール、フッ素
したがって甘いものを摂ったあとや、夜寝る前の歯磨きは極めて大切です。
また、キシリトールは、甘味が強いものの、ブドウ糖ではないので分解されても酸は出ません。むしろ唾液の分泌を促し、カルシウムの取り込みを助けるため、虫歯を防ぐ働きをします。
さらに、フッ素は歯垢の生成を抑え、歯の再石灰化を促進します。しかしからだに多くとりこまれると、骨硬化症や脂質、糖質代謝障害をおこす危険があるので、注意が必要です。