BRAIN

脳のはなし

感情にブレーキをかけるセロトニン

子ども

セロトニンとうつ

ドーパミンやノルアドレナリンは感情を形成する重要な神経伝達物質ですが、どちらも出過ぎると感情が不安定になります。

こういう事態になると、脳の深部にある脳幹の縫線核(ほうせん核)からセロトニンが分泌され、ドーパミンやノルアドレナリンが出るのを抑え、情動が安定するよう働きます。

つまりセロトニンは他の神経系の興奮を抑え、感情にブレーキをかけるように働くことで、“このへんでいいだろう”という充足感を抱かせ、過剰な快感や興奮あるいは抑うつ状態を軽減するのです。

セロトニンが不足するとブレーキがかかりにくくなるため、快楽行為が止められなくなり、ダイエットに挑戦しても長続きせずかえって過食を引き起こすようになります。

また暴力的になったり、うつ病になりやすくなります。

このため、他人では考えられないようなちょっとした悩みや失敗で自殺したりするようになります。

実際、殺人や自殺未遂を起こしたひとは、セロトニン濃度の低いことが確認されています。

逆にセロトニンが出すぎると、てんかんを引き起こしやすくなるといわれています。

セロトニンは、感情や情動だけではなく、食欲、睡眠・覚醒リズム、生殖、運動、体温、呼吸、消化、心臓などにも密接に関わっています。

実際、セロトニンの90%は消化管にあって、8%が血小板の中に、脳内にあるのは僅か2%なのです。

ストレスとセロトニン

長期間ストレスが持続すると、糖質コルチコイドというストレス物質がどんどん増えていきます。

セロトニンの80%はリサイクルされるのですが、糖質コルチコイドが増えるとこのリサイクルができなくなり、慢性的なセロトニン不足となってしまうのです。

これがセロトニン不足の主な原因です。

また、セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から生成されます。

そのとき炭水化物を必要とするため、肉類とともにご飯やパンをしっかり食べることが大切です。

よく「朝食を食べない子供はきれやすい」といわれるのは、セロトニンの不足によりイライラ感がつのることが原因といわれています。