BRAIN

脳のはなし

過換気(過呼吸)症候群

精神
神経質で心配症の若者が突然のショックや不安に陥ったとき、呼吸するのが苦しくなり、手の指や口の辺りがしびれてくる状態を、過換気(過呼吸)症候群と呼びます。

さらに症状が悪化すると、筋肉が硬直して感覚がなくなったり(テタニー症状)、頻回に呼吸を繰り返す過呼吸と無呼吸を交互におこすようになり、意識が朦朧としてきます。

発作が起こったときには、まず声を掛けたり、手を握るなどして、気持ちを落ち着かせ、不安を取り除いてあげることが大切です。

緊急時には小さめの紙袋を口に当て、吐いた空気を何度も吸い込むようにするのが一般的でしたが、最近ではかえって不安を強めたり、低酸素血症をもたらす、治療効果がないなどの理由から、あまり行われなくなりました。

それより、胸の上部を圧迫し、十分に息を吐かせて肺のふくらみを減らしてあげることが有用だといわれています。

効果的な腹式呼吸

また、患者さんにゆっくり腹式呼吸をするように指導すると、次第に過換気も減り、呼吸困難がとれてきます。

こうして腹式呼吸に慣れると心に余裕が生まれ、突然発作が起こった時にも自分で対処出来るようになります。

通常、過換気症候群は強い不安や肉体的な疲れがきっかけで発病することが多いため、しばしば抗不安薬が投与されます。

また何度も発作を繰り返す場合には、いったん症状が落ち着いた時点で、専門医に心理療法、行動療法をうけることをお勧めします。

また過呼吸症状は、うつ病やパニック障害、強迫神経症などに伴ってみられることがあります。その場合には、これらの病気をあわせて治療しなければなりません。

病状がはっきりしない場合は精神神経科の専門医を受診し、主治医から病気の詳しい説明を受け、対処法を考えてもらうことです。

たとえば、発作時ただちに服用できる精神安定剤やペットボトルを携帯するようなことも、安心感を得るために有用な手段だとおもわれます。