新たなオミクロン株 BQ.1とBQ.1.1
今夏の第7波ではBA.5系統のコロナウイルスが主流(90%以上)を占めていましたが、10月頃から減少に転じ、12月10日現在54%となり、BQ.1系統(BQ.1及びBQ.1.1)が36%と急増しており、BA.5を凌駕するのは時間の問題と言われています。
すでにアメリカでは、「BQ.1.1」が31.9%、「BQ.1」が30.9%と多数を占めている一方、「BA.5」は13.8%と減っています。
従来、新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染は、気管支や肺など呼吸器が傷害されていましたが、BQ.1系統では心臓血管系の傷害が目立つようになり、専門家の注目を集めています。
いったい新型コロナはいつまで続くのか、もううんざりという声が聞こえてきますが、あと数年で世界中、とくに途上国でワクチンを打ち終えるか、あるいは感染が蔓延し、みんなに抗体が出来てしまえば、コロナは終息に向かうだろうと予測されます。
発生後3年を経て、ワクチンが全国に普及したことや、感染して抗体の出来た人が増えたことで、新型コロナに感染しても重症化したり、亡くなったりする人は明らかに減ってきているようです。このため欧米諸国では、すでに新型コロナを弱毒化した普通の風邪として扱うようになってきています。
我が国でも、第6、7波のオミクロン株は従来株より重症化率が低い傾向がみられ、オミクロン株に対応したワクチン接種が始まったこともあり、感染者の療養期間が見直されたほか、水際対策も緩和されてきました。しかし、欧米並みに解除する段階には至っていません。
ちなみに、1日当たりの全国の感染者数は、10月に1万人台と減っていましたが、その後増加を続け、12月10日現在15万人となっています。
第8波の到来といえますが、通常2か月程度でピークアウトする傾向にあるため、来年1月か2月あたりに終息に向かうのではと考えられています。
今後もワクチンは打ち続けるべきか
現在感染の中心は、欧米から我が国、韓国、中国など東アジアに移ってきているようです。BQ.1系統のウイルスは、BA.5のスパイクたんぱく質の部分に変異が加わったもので、免疫をすり抜ける力が従来のものより強いといわれますが、現在実施しているワクチンでも十分、対抗できると考えられます。
確かにワクチンを打ったからといって、コロナに感染しないとは言えませんが、たとえ罹っても、軽症で終わるといわれているのです。よく知られているように、インフルエンザワクチンを打ってもインフルエンザに感染することはありますが、軽症ですむというのと同じことです。
したがって特別な事情がない限り、出来るだけ早くワクチンを打つことをお勧めします。とくに、高齢者や基礎疾患(心臓、腎臓、肝臓病、ガン)などを持った方は、是非受けておいてください。
また、以前は小児に対しワクチンの安全性に関する国内のデータが乏しく、適応から外されていました。しかしその後、海外の大規模な研究成果により、40~80%の重症化予防効果が認められ、12~17歳における副反応の発生率が若年成人と同等であったため、小児にも積極的なワクチン接種が勧められるようになっています。
インフルエンザとの同時流行はあるか
新型コロナウイルスが感染拡大して以降、昨年まではインフルエンザの感染は目立ちませんでしたが1か月前より38の都道府県で患者が発生しており、関西を中心に学級閉鎖も散発的にみられています。
また海外でも、米英独などで新型コロナとともに、A香港型インフルエンザの感染者が増えており、WHOも特に北米で流行が急拡大していると喚起を促しています。このため我が国でも、新型コロナとの同時流行は必ずおこると考えられます。
感染症法「2類」から「5類」へ
感染症法では、細菌、ウイルスの感染力や重症化リスクに応じて「1類」から「5類」に分類されているのはご承知のとおりです。このうち「1類」が最も危険性が高く、エボラ出血熱やペストなどが該当します。
現在、政府は新型コロナを「2類」から「5類」に変更する方向で検討しています。「2類」とは「1類」についで感染力の強い、結核やSARS(サーズ)が該当します。
「2類」では、地方自治体は感染者に就業制限や入院勧告ができ、医療費は全額、公費となります。また、入院患者は感染症の指定医療機関が受け持ち、医師は保健所に感染者の届け出をしなければなりません。
一方「5類」は比較的軽症で、季節性インフルエンザや梅毒などが該当します。「5類」では、地方自治体は感染者に就業制限や入院勧告はできません。また、医療費は保険適用以外の費用が自己負担となります。一方、入院患者は一般の医療機関が担当し、医師の届け出も7日以内で、全数報告は求められません。
今回の新型コロナウイルスは、発生当初は「2類相当」とされましたが、2020年2月に法改正で5つの分類に当てはまらない「新型インフルエンザ等感染症」と位置付けられました。ここでは、外出自粛要請などの厳しい措置や、緊急事態宣言で強い行動制限ができるようになりました。また、都道府県の指定により、感染症対策のとられた一般病床でも入院患者の受け入れが可能となりました。
今後、「5類」への見直しがおこなわれますと、一般の医療機関でも入院可能になりますが、感染症指定医療機関のような感染対策がとられにくいため、院内感染によるクラスターの発生が危惧されます。
また、検査および治療費が原則自己負担となるため、病院への受診を控える人たちが増える可能性があります。このため発見が遅れ、周りに感染を広げてしまいかねません。
さらには、感染者への入院勧告や濃厚接触者への指導ができなくなるため、感染を周囲に広げないよう、各自の責任で感染対策をしていただくことになります。
新たな対処法があるか
新型コロナへの対処法は従来と何ら変わるところはありません。こまめな手指消毒とともに、密閉、密集、密接を避けることは、基本中の基本です。
したがって、屋内で人と会う場合は少人数とし、近付き過ぎない、マスク着用、部屋の換気が極めて重要です。とくに冬場の流行に備え定期的に窓を開けるなど、部屋の換気には十二分な注意を払ってください。
こうして、ワクチン接種をうけ、感染対策をとったうえで忘年会や新年会に出席するのは、十分可能であると考えられます。