長期にわたって肝臓に炎症が続き、柔らかい肝細胞が破壊・修復を繰り返すと、肝臓は火傷後のケロイドに似て硬くなります。この状態を肝硬変と呼びます。
進行すると、黄疸、腹水、吐血などが出現します。さらに進むと、肝不全といって意識障害や尿が出ない、出血が止まらないな事態に至ります。またしばしば肝臓ガンを合併するようになり、きわめて危険な状況となります。
原因の80%は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる感染です。そのほかはアルコールの飲みすぎ、自己免疫性肝炎、薬物による肝臓障害,脂肪肝にストレスがかかり発生するといわれる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などが原因といわれています。
硬くなった肝臓を元に戻すことは難しいため、残された肝蔵で細く長く命脈を保つことを目標にします。
肝炎ウイルスに由来する場合は、抗ウイルス療法が中心となります。自己免疫異常による場合は、ステロイド剤や免疫抑制剤が中心となります。アルコールが原因なら禁酒、そうでないなら、食事、運動療法が中心となります。
また並行して合併症の手当てもしなければなりません。浮腫、腹水には塩分の制限と利尿薬やアルブミンの投与を、食道静脈瘤には内視鏡的治療を、意識障害には蛋白制限と特殊組成アミノ酸製剤でアンモニア発生を抑える必要があります。