BRAIN

脳のはなし

アルツハイマー病

アルツハイマーアルツハイマー病とは、βアミロイド蛋白と呼ばれる異常な蛋白質が脳全般に蓄積する(老人斑と呼ばれる)ために、脳の神経細胞が変性・脱落し大脳の萎縮する病気です。

老人性痴呆のなかではアルツハイマー型痴呆が43 %と最も多く、決して少ない病気ではありません。

45~65歳に発病し、徐々に脳の萎縮が進み、失語、失行、失認などの痴呆症状と共に、知的機能や生理的機能が著しく低下し、10年前後で寝たきりになるといわれています。

最初は頑固、自己中心的、不安・抑うつ、睡眠障害など軽い変化がみられます。

病期を3期にわけると、第一期は健忘期とも呼ばれ、記銘力低下、健忘症状、見当識障害が認められますが、人格は保たれています。

第二期は混乱期とも呼ばれ、記憶、記銘力の著明な障害、失語、失行、失認、幻覚、妄想などがあらわれます。

徐々に、車を運転する、電話をかける、家計簿をつける、食事を作るなどの簡単な作業ができなくなります。

さらに、食事、歩行、入浴、トイレの使用、服を着るなどの日常生活ができなくなり、やがて徘徊や夜間せん妄(幻覚・錯覚)が出現し、外出すると家に帰れなくなります。

第三期は臥床期とも呼ばれ、寝たきりとなり、失禁、拒食・過食、けいれんなどで言葉も失われます。

診断は問診とともにCT、MRI検査をおこないますが、撮影された画像には、比較的早期から側頭葉内側部(海馬領域)の萎縮が目立ってきます。

さらに進行すると脳全体の萎縮側脳室の拡大が顕著になります。

原因は不明ですが、血液中の神経伝達物質であるアセチルコリンの量が低下していることが分かっています。

また、脳に老人斑というアミロイドの沈着や、糸くずのような神経原線維が出現します。

根本的治療法はわかっておりません。

ただ、記憶や認知機能にアセチルコリン作動性ニューロンが関与しているといわれており、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である「アリセプト」がアセチルコリン作動性ニューロンの機能を高めるため記憶力が回復するといわれています。

予防や改善のための食生活として、緑黄色野菜やドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸を多く含む青魚(マグロ、ブリ、アジ、サバ、サンマ、イワシ)を十分とるようにすると、アルツハイマー病の症状が改善されるようです。

逆に肉類中心の高カロリー食は発病を誘発しやすいこともわかっています。