短鎖脂肪酸は炭素数6以下の脂肪酸を総称したもので、酢酸・プロピオン酸・酪酸など9個の脂肪酸からなります。
大腸のなかに水溶性食物繊維やオリゴ糖が運ばれてくると、腸内細菌が盛んにこれを食べて発酵する結果、短鎖脂肪酸が生まれます。
つくられた短鎖脂肪酸のうち、酪酸は大腸自身のエネルギー源として、酢酸は脂肪合成の材料に、プロピオン酸は肝臓で糖をつくる材料に利用されます。
しばしば、短鎖脂肪酸は天然のやせ薬といわれます。脂肪細胞に短鎖脂肪酸の受容体があって、短鎖脂肪酸はエネルギーが脂肪細胞へ取り込まれるのをブロックしているというのです。
このため減量を目指すには、短鎖脂肪酸を生む水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂る必要があるのです。
水溶性食物繊維は
オリゴ糖は
から摂ってください。
短鎖脂肪酸の威力はそれだけに留まりません。
腸内フローラ
短鎖脂肪酸は酸性のため、大腸内が酸性となって悪玉菌の増殖が抑えられ、腸内細菌が産生する二次胆汁酸など有害物質の発生を防ぐことができるため、腸内フローラを良好に保つと同時に大腸癌を予防します。
血糖の上昇を抑えるインクレチンや、心の安らぎをもたらすセロトニンの分泌を促す効果があります。
短鎖脂肪酸のひとつ酪酸には、過剰な免疫反応を抑える Tレグ(制御性T細胞)という免疫細胞を増やし、アレルギーや自己免疫性疾患を抑える効果があります。
短鎖脂肪酸のひとつ酢酸は、脳に直接働いて食欲を抑えるといわれています。また大腸のバリア機能を高め、病原性大腸菌などの侵入があるとその毒素の侵入をブロックし食中毒を予防します。
さらに短鎖脂肪酸のひとつプロピオン酸は、酪酸とともに食欲を抑える腸管ホルモンを分泌し、肥満を防ぐ働きをするといわれています。
このように短鎖脂肪酸は炭水化物が腸内で発酵することによって生成されるため、痩せたいという思いから、徹底して糖分を摂らないでいると短鎖脂肪酸が作られず、減量に失敗する原因になってしまいます。