重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、SFTSウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染する病気です。
中国では2007年頃から流行し2010年9月に35名の死者が発表されました。
日本でも2013年になってから感染の報告が相次いで発表されたため、2013年3月、重症熱性血小板減少症候群(病原体がSFTSウイルスであるもの)を、感染症法に基づく四類感染症に指定して、喚起を促しています。
これまで17人の感染が確認されていますが、愛媛県では全国最多となる5件がみつかっており、死亡者も全国の死者10人中、愛媛県が2人となっています。
原因は、SFTSウイルスをもったマダニが人の皮膚に咬みつき、そこからウイルスがヒトのからだに侵入することによって発病します。
SFTSウイルスの潜伏期間は1週間から2週間ほどで、症状としては38度以上の発熱・嘔吐・腹痛・下痢・下血などが現れます。
血液検査では、血小板の減少が特徴で、その他、白血球の減少や電解質の異常を来たします。
また、重症になると出血傾向をおこし、致死率は10~30%程度と考えられています。
つぎに、マダニに咬まれた場合の対処法について述べます。
マダニに咬まれたら
一度ヒトの皮膚に口器を差し込んだマダニは、吸血が終わるまで1~2週間程度は体から離れません。
吸血中のマダニに気が付いたときは、1日以内であればワセリンをマダニ全体にたっぷりと塗り、30分ほど放置するとマダニが窒息するため、ガーゼで拭き取れば大丈夫です。
しかしそれ以上時間が経っているようであれば、ピンセットなどでマダニを引き抜こうとするのは危険です。無理矢理取ろうとすると、マダニの口の部分が皮膚のなかに残ったり、マダニのからだにいるSFTSウイルスがそれをきっかけにヒトの体内に入り込む危険があるからです。
このため、自分で治療しようとはせず、皮膚科の専門医を受診し、局所麻酔をしたうえで、食いついかれた皮膚もろともマダニを取り除く治療をうけてください。
また、マダニに咬まれたあと、発熱や嘔吐・下痢などが出現した場合には、早めに病院を受診してください。
マダニに感染しないための予防対策としては、マダニの活動が春から秋にかけて盛んになることから、この時期、森林・草むらなどに入る場合には、マダニに咬まれないよう長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を少なくすることが大切です。
また、帰宅後はダニに刺されていないか皮膚を確認することも大切です。