世界中で販売されている医薬品を調べると、日本ではトップ商品100品目のうち20品目は使用が認められていません。
このように海外で承認されている薬が、国内で承認され使用できるまでには随分と時間がかかるのが現状です。この時間差をドラッグ・ラグといいます。
ドラッグ・ラグは米国では1年余なのに対し日本では3.8年と、先進国中最長となっています。
このため有効な抗ガン剤や難病などの治療薬を、未承認のため使用できないという苛立ちが、しばしば患者さんの間で湧き起っています。
承認に時間がかかる理由
ドラッグ・ラグがおこるのは、厚生労働省の認可が遅すぎるというのが最大の原因で、治験に入るのが遅すぎる、治験実施期間が長すぎる、審査官が少なすぎるなど問題点が指摘されています。ちなみに審査官数は、米国の2000人にくらべ僅か400人と、先進国では最少なのです。
さらに薬の適応となる患者数が少ないと、薬をつくっても採算割れになるという営業上の問題や、輸入価格の決定、販売権の問題など諸問題をクリアーしなければならないのです。
この実情にのっとって厚生労働省は、現在、製薬メーカーによる治験の開始を早め、大規模な治験を敏速にできるよう重点病院を指定して治験期間を短縮し、審査員を増員して審査時間を短縮するよう鋭意努力しています。