リンパ浮腫は乳癌や子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌の手術で、リンパ節を取り除いたり放射線治療をうけたあとに発生します。
リンパ液の蛋白質がリンパ管からもれ、腕の内側や太ももの付け根に蓄ってむくみとなり、徐々に手の先、足の先へと広がっていきます。
ときには強いむくみで静脈が圧迫され、皮膚が青紫色になることもあります。さらに進行すると皮膚が次第に硬くなっていきます。症状は手術直後だけでなく10年以上経って出現することもあります。
リンパ浮腫が進むと、文字を書いたり、調理するような手作業あるいは歩行に支障をきたすようになり、生活が不自由なためうつ状態になりがちです。
リンパドレナージのすすめ
これに対しては、症状が出始めたらマッサージや温浴だけでなく、リンパドレナージや弾性着衣をしたうえでの運動療法に取り組む必要があります。利尿薬はあまり効果が期待できません。
まずは、医師の指導をうけ、手のひらを皮膚に密着させ腕や脚にたまったリンパ液をからだの中心部のリンパ節に向けて誘導するリンパドレナージに取り組んでください。
ついで、むくみの場所によって、弾性スリーブ、弾性グローブ、弾性ストッキングなどの弾性着衣を身に付けたり、自分で弾性包帯を巻く訓練をし、その圧迫により皮下組織の圧を高めて、リンパ液が溜まるのを防ぎます。
比較的軽いリンパ浮腫であれば弾性着衣を用いた圧迫を、高度のリンパ浮腫には弾性包帯を用いた圧迫を行います。
さらに、弾性着衣や弾性包帯で適度な圧迫をした状態で、運動療法に取り組んでください。腕にむくみがある方は、大きく手を握ったり開いたり、肘や手首の関節の曲げ伸ばしを、脚にむくみのある方は、横になって脚の開閉運動、ペダル運動、椅子に腰掛けて膝や足首の曲げ伸ばし運動を心がけてください。