漆器職人の知恵
アレルギーを起こす物質(花粉症であればスギ花粉)をアレルゲンといいます。そのエキスを、長い時間をかけ少しずつ注射し、体を徐々に慣れさせていくと、アレルギーを起こさなくなるという治療法です。
我が国でも昔から漆器職人の親方が、弟子たちの舌下に僅かな漆を注入し、少しずつ増量すればアレルギーがおこらないということを知っていました。
つまりアレルゲンがからだに入っても、非常に少量であれば免疫系がそれを外敵だと気が付かず、アレルギーを起こしません。そこで時間をおいてもう少しずつ増量していくと、敵のような気もするけどはっきりしないと判断して、反応が弱くなってしまうのです。
その結果、うまくいくと薬が要らなくなったり、大幅に減らすことが出来ます。これを 減感作療法と呼びます。
しかし減感作療法にはデメリットもあります。
減感作療法のデメリット
治療期間が2、3年と長期間にわたり、最初のうちは毎週注射に通わなくてはなりませんし、状態が安定するまでに数ヶ月、安定後も数年は注射を打ち続ける必要があるのです。
最近では注射のかわりにアレルゲンを舌の下に入れる方法(舌下法)も行われていますが、今のところ評価はまだ定まっていません。
また、この治療法はあらゆるアレルゲンに対する反応を抑えることはできません。したがってアレルゲンの種類が多い方には、十分な効果は望めません。
少量とはいえアレルゲンを体内に入れるわけですから、それでアレルギーが起こる可能性も否定はできません。
以上の弱点を加味しても、減感作療法はきわめて有力なアレルギー治療法に違いありません。