COVID 19

新型コロナウイルス

(1)指定感染症となる

新しく発見されたコロナウイルスによる肺炎(とりあえず新型肺炎と呼称)は、我々の誰も経験したことのないウイルスによる肺炎で、どれほどの脅威があるかはまだ明らかでありません。

タケネズミ、アナグマ、コウモリなど野生動物の調理の際に、人へ感染するのではと推測されています。

ただ、この1か月間のウイルスの蔓延が急速であること、死亡者が急増していることをみれば、非常に繁殖力の強い強力なウイルスであることが分かります。

人から人への感染が判明

中国当局は最初、人から人への感染を否定していましたが、その後の報告で、人から人への感染が明らかとなっています。しかもこのウイルスは、増殖する際、姿、形を容易に変え(変異)、変異することで強力なウイルスに変身している可能性があります。

某大学の試算によれば、感染者はすでに2万人に達していると考えられています。

さらに、このウイルスは潜伏期であっても、人へ感染することが分かっています。つまり、きわめて初期から感染力が強く、全く症状のない時期でも、他人にウイルスを移す危険があるというのです。

それを証明するかのように我が国でも、外国へは渡航しておらず、武漢のツアー客を乗せただけのバスの運転手に、ウイルス感染者が出たのです。

「指定感染症」に指定さる

これをみて、政府は今回のコロナウイルスによる感染症を「指定感染症」に指定することにしました。

感染症は危険度の高いほうから1類(エボラ出血熱など)、2類(結核、SARS,MARS、鳥インフルエンザなど)3類(赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、コレラなど)、4類(デング熱、ジカ熱など)、5類(麻疹、風疹など)に分類されています。

しかし現時点では、このコロナウイルス感染症がどの分類に当てはまるか、まだ判断できる状況ではないのです。

そこで、とりあえずこれを「指定感染症」として、分類するのを保留し、一定期間、感染者の行動を制限して、周りの人に感染させないよう緊急措置をしたのです。

一定期間とは、普通1年として感染の経過を観察し、経過によってはさらに1年、2年と引き延ばし、いずれ1類〜5類のうちのどこかに分類しようというのです。

「指定感染症」のメリット

ところで、指定感染症になると何が変わるかというと、他人に感染しないよう、法に基づいて入院など隔離措置がとられるようになります。

指定感染症でなければ、たとえ治療が必要と医師が言っても、患者さんが拒否するとそれ以上は強制できないのです。これではウイルスの蔓延は免れません。

また、保健所への届け出が必須となるため、感染症の発生機序、伝播の動向を把握できるというメリットがあります。

しかも、指定感染症になると医療費が無料となり、患者負担がなくなるため、隔離措置がとりやすいというメリットもあります。

「指定感染症」の問題点

一方、指定感染症となることで、いくつかの問題点も指摘されています。

じつは指定感染症になると、治療できるのは感染症指定医療機関のみとなります。

周りに感染する危険が多いのですから当然といえますが、大流行すると、指定医療機関

のスタッフに多大な負担(一睡もできないなど)がかかり、治療システムが破綻してしまいます。

状況に応じて、指定医療機関以外でも診療出来るような体制づくりが急がれます。

さらに、新型コロナウイルス感染症にかかっても、最初は微熱程度ですから、いきなり感染症指定医療機関を受診することはなく、一般病院を受診することになります。

ところが指定感染症になると、一般病院では警戒心がなくなり、かえって医療従事者の感染リスクを上げるという危険が出てきそうです。

指定医療機関だけに任せるという意識を捨て、全医療機関で取り組まねばならない問題といえましょう。