わたしたちのからだは60兆もの細胞からなりたっています。
その一個一個には核があって、そのなかには糸くずのような46本の染色体があります。
つなぎあわせると2メートルほどになります。
この糸くずを形成しているのがDNA(デオキシリボ核酸)と呼ばれる遺伝情報を担う物質です。
じつはよく見ると、DNAは2本の糸がらせん状になっており、その間を無数の梯子が連結して踏み段を作り上げています。
この踏み段はアデニンとチミン、グアニンとウラシルという2個の塩基がくっついてできています。
踏み段は30億段に達していますが、遺伝をひきおこす単位である遺伝子は、30億段もあるDNAのなかのたった2万7千箇所に分散しているにすぎません。
つまり、遺伝子があるのはDNA全体のわずか5%ほどなのです。
しかも、DNAの数はすべての人に共通ではなく、その約1割は人によってあったりなかったりすることが分かってきました。
染色体、DNA、遺伝子
染色体を本にたとえるなら、DNAは本に書かれた大量の文字に匹敵し、遺伝子はそのうちの一部である設計図に相当します。
すなわち遺伝子は設計図をみながら、タンパク質やRNAをいつ、どこで、どのくらいつくるかという指令をだすのを主な仕事としています。
DNAには大量の情報が書き込まれているわけですが、そのままではなかの情報をみることができません。
そこで、RNA(リボ核酸)が活躍するのです。
実際、タンパク質がつくられる際には、直接DNAからつくられるのではなく、まずDNAの一部である遺伝子を鋳型にしてメッセンジャーRNA(mRNA)が作られます(これを転写といいます)。
つぎに転写された情報をもとに、トランスファーRNA(tRNA)がそれに対応するアミノ酸を選んで合成工場(リボソーム)へ運び、リボゾームRNA(rRNA)によってそのアミノ酸をつなげてタンパク質がつくられるのです(これを翻訳といいます)。
つまり、RNAはDNAで記録された遺伝情報を取り出し、実際からだのなかで働くようにお膳立てをしているといえます。