GENE

遺伝子のはなし

単為発生の不思議

マウスこのたび、哺乳(ほにゅう)類では世界初となる単為発生マウスが誕生しました。

東京農業大の河野友宏教授らが、精子なしで卵子だけを使って、子マウスを誕生させることに成功したのです。

生殖に雄が要らない単為発生と呼ばれる技術で、卵子が精子と受精していないのに、受精卵のように細胞分裂する不思議な現象です。

雌雄を決定するべき精子が不要とされるため、雌のマウスしか誕生しません。

H19遺伝子から13-kilobaseを削除する、という遺伝子改変を行うと精子特有の目印があるのと同じ状態に改変した雌マウスができます。

このマウスから未成熟な卵母細胞を採取して培養し、その核を取り出して精子のかわりに別のマウスの卵子に移植し、化学物質で刺激を加えると受精卵の様に分裂が始まったのです。

これを確認後母胎に戻すという操作を行った結果、雌マウスの誕生に到ったそうです。

遺伝子改変を伴うため、倫理上の問題から単為生殖を人間に応用することはできません。

しかし観点を変えれば、男性なしでも人類が子孫を残していける可能性が示唆されたわけで、歴史的事件ともいえます。

今後、医学的にはこの方法で、

さまざまな臓器の細胞になる可能性を秘めたES細胞を作製しようとする動き

がでてきそうです。

なぜなら、この方法では卵子提供者には、移植しても拒絶反応が起きませんし、難病の治療に新たな道を開くという期待が高まっているからです。